パーソルホールディングスは2月24日、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に関して、その新たな鍵として「ニューロダイバース人材」(以下、ND人材)の戦略的活用に関する提言をまとめたレポート『経営者、DX推進責任者のための ニューロダイバーシティで実現するDX推進』を発表した。

レポートでは、同社グループが持つDX推進および障害者雇用領域における知見とノウハウを基に、新しい可能性を秘めている「ND人材」の積極的な採用や活躍のために不可欠な「ダイバーシティマネジメント」を成功に導く「明確な役割分担(組織設計)」「実務能力重視の選考(プロセス)」「能力の多様性を前提としたマネジメントと環境構築」の3つのファクターを提言している。加えて、実際にND人材の戦略的かつ積極的な採用を行っている企業の事例も紹介している。

  • ND人材活用のイメージ

そもそもニューロダイバーシティとは、日本語で「脳多様性」や「神経多様性」などと訳され、個人レベルでの脳や神経のさまざまな特性の違いを多様性と捉えて相互に尊重し、社会の中で生かそうとする考え方である。今回同社が作成したレポートでは、脳や神経の特性を生かして顕著な成果を上げる人材を「ND人材」と定義している。

ND人材には自閉症スペクトラム障害をはじめとした発達障害の傾向がある人材も多く含まれるそうだが、ニューロダイバーシティの考え方においては、その特性を障害ではなく能力の多様性として捉え、生かしていく視点の転換が重要だという。

現在は多くの企業が企業競争力の向上を目指してDXに取り組んでいるが、専門人材の不足感は継続しており、2030年にはIT人材の不足数が最大で79万人にも達するとの試算もある。

これまでの人材戦略やDX推進においては、ND人材のような新しい人材の活用可能性が検討される機会は限定されていたが、近年では高いIT適性と職務能力で貢献ができる発達障害傾向のある人材の可能性に注目が集まりつつある。また、実際に当該人材を活用し戦力化できている企業も存在し始めているとのことだ。