リージョナルフィッシュ、奥村組、NTTドコモ(ドコモ)、岩谷産業ら4社は10月11日、バナメイエビの養殖に最適な方式および条件を確立するための実証実験を開始すると発表した。参画企業各社は、オープンイノベーションによって高い生産性を実現する養殖パッケージ化の完成を目指す。

バナメイエビは1尾あたり15グラムから18グラム程度の小型のエビで、世界中で食されており、特に日本では寿司やエビフライなど幅広い用途で使われる。養殖用の稚エビである種苗は海外から輸入することが多いが、急性肝膵臓壊死症など、持続的養殖生産確保法に定められる特定疾病による被害が生じるリスクがある。こうした疾病の発生によってバナメイエビの種苗が全滅することもあり、養殖業者の課題となっている。

  • バナメイエビの種苗

こうした背景を受けて4社は、国産のバナメイエビ種苗を用いて、最適な養殖手法を検討する実証実験に着手する。200トン水槽3基を用いて閉鎖循環式養殖とバイオフロック養殖の2種類の方式を比較し、各方式のメリットとデメリットを抽出することで改良の方向性を模索する。バナメイエビの養殖で主流となっている両手法は、水の入れ替えを行わないため病気の発生リスクを低減できるという。しかしこれまで、どちらの手法が優れているのかを比較して検証した例はないとのことだ。

  • 閉鎖循環式養殖とバイオフロック養殖のイメージ

今回の実証実験において奥村組は、閉鎖循環式養殖システムの構築と安定運用に取り組む。リージョナルフィッシュはバナメイエビの国産種苗を提供しバイオフロック養殖を実施する。また、ドコモはICT水質遠隔監視装置を活用して水温や溶存酸素、塩分やpHなどの水質データをスマートフォンから確認可能なアプリ「ウミミル」を提供する予定だ。さらに、陸上養殖においては効率的な酸素供給が不可欠であることから、岩谷産業は高濃度酸素溶解装置を提供することで収量の増加を狙う。

  • 各社の役割の概要図