法政大学(法大)は3月23日、銚子市で釣りをしていた会社員がTwitterに投稿した写真から、海岸性ダニ類の新種「チョウシハマベダニ(ササラダニ類)」を発見したことを発表した。Twitterから偶然見つかった生物としては世界で2例目で、動物としては初めての例だという。

同成果は、法大 自然科学センター・国際文化学部の島野智之 教授、オーストリア・グラーツ大学 動物学研究施設・講師のトビアス=プフィングスティル博士、実際に写真をTwitterに投稿した会社員(アマチュアカメラマン)の根本崇正氏らによるもの。詳細は日本動物分類学会の国際学術誌「Species Diversity」に掲載された

島野教授らの研究チームは、2019年に日本で初めてハマベダニ属のダニを北海道(当時の南限)から新種記載したものの、以降、東アジアでは北海道以南からみつかっていなかったという。そんな中、偶然、根本氏の当該ツイートを見つけ、写っていたハマベダニ属の形態が既知のものと微妙に異なることに気づき、新種ではないかと考えたという。

その後、島野教授が実際に、写真が撮影された銚子外港において、根本氏の協力の元、ハマベダニを採集。トビアス=プフィングスティル博士とともに、チェックを行った結果、新種であることを確認したという。新種につけられた学名は、Twitterにちなみ、「Ameronothrus twitter(和名:チョウシハマベダニ)」と名付けられたという。

研究チームでは、ササラダニ類は人体にはなったく影響は与えず、落ち葉や地衣類などの有機物を餌としている生物であり、環境指標種として豊かな自然環境の指標になることが知られていると指摘。銚子の海岸環境の豊かな自然が、未発見の種を育んでいたと考えられるとしている。

また、ソーシャルメディア(SNS)の利用によって、一般ユーザが誰でも新種の発見や生物多様性の解明に協力・参加できる事が示唆されたとするほか、SNSは時間がかかる新種の発見のスピードアップを促すことができ、科学の発展に繋がる可能性が示されたとしており、未知の生物情報の多くが、未だSNSに埋もれている可能性があり、市民科学の観点からも今後多くの応用が期待できるのではないかとしている。

  • チョウシハマベダニ

    銚子外港の様子と実際にTwitterに投稿されたチョウシハマベダニの画像。矢印が採集地点 (撮影:根本崇正氏、出所:法政大学Webサイト)