ブラザー工業の国内販売子会社であるブラザー販売は3月23日、新しい働き方を実現するため、本社オフィス(名古屋)を3月中旬にリニューアルしたと発表した。全席固定席だったオフィスをフリーアドレスにし、さまざまな形式の会議室やオープンなミーティングスペース、集中して業務に取り組めるブース席など、働き方に合わせたオフィス環境を構築した。
ブラザー販売 代表取締役の三島勉氏は、23日に開催された記者会見の冒頭で、「オンラインによるコミュニケーション活用はもちろんのこと、リアルなオフィスだからこそできるコミュニケーションの活性化を促していきたい」と、新オフィスに対する期待を語った。
新オフィスでは、「社員が自律的な働き方で仕事を楽しめる場所」をテーマにしている。オフィスを南北で業務集中エリアとコミュニケーションエリアに分け、社員の回遊性を図る。部門間交流を促進させるため、全席フリーアドレスにし、コミュニケーションやアイデア創出を促すコミュニケーションエリアを従来の2.6倍増加させた。
また、働き方に合わせたさまざまな執務席が用意されている。モニターを全席に完備したエリアから、周囲から遮断されることで集中して業務に取り組めるブース席、チームで作業したい際に向いているソファ席まで、働き方に合わせて座席を選べるようになった。
さらに、同社ならではといったオフィス環境も構築している。ブラザー販売が取り扱う製品を積極的に活用し、オフィスに分散配置したプリンタやスキャナーを自社製品で対応する。また、主要製品を工房のように使用できるクリエイティブルームも設置。三島氏は、「全社員が日常的に自社の製品やサービスと触れ合うことで、新しいアイデアの創出を促す」と説明した。
ブラザー販売では、新型コロナウイルス感染症拡大を契機として、一部社員に限られていたテレワークを全社員に解禁し、緊急事態宣言中においては約30%の出社率を実現していたという。しかし、同社が20年に実施した全社員対象のアンケート結果から、8割以上がテレワークの継続を希望する一方で、5割以上がコミュニケーション不足を課題として感じていたことが分かった。
同社は今後、リニューアルした新オフィスで、社員が楽しく働ける環境を構築すると同時に、オンラインを有効活用したハイブリッドな働き方を推進していく方針だ。