キオクシアが次世代半導体の生産を開始、来年にも量産化へ

年間投資計画は約4700億円、韓国ハイニックスは約8兆円

 

「この工場から非常に競争力ある製品を世界中のお客様に生産し、それを出荷していく」

 こう語るのは、半導体大手・キオクシアホールディングス社長の太田裕雄氏。

 キオクシアが北上工場(岩手県)で次世代半導体の生産を始めた。近年、AI(人工知能)が急速に普及・発展しており、AI需要の高まりに対応。”第10世代”と呼ばれる最先端の3次元フラッシュメモリーで、第2製造棟(K2棟)でサンプル品の出荷を始め、2027年に量産に入る予定だ。

 キオクシアはもともと東芝が経営危機に陥っていた際に、半導体メモリー事業を分離・独立して2017年に発足。旺盛なAI需要を背景に、データの長期記憶に用いるNAND型フラッシュメモリーの需要が増加。7月10日時点の株式時価総額は約42.1兆円で、トヨタ自動車(約41.2兆円)を抜き、国内首位を維持している。

 K2棟は昨年9月から稼働を開始。これまでは”第8世代”と呼ばれる半導体を生産していた。今回、生産を始めた最先端の半導体は第8世代に比べ、データの処理速度が約3割向上。太田氏は「競争力のあるチップを開発・生産していく場として、この北上を活用していく」と語り、将来的な第3製造棟の新設にも含みを持たせた。

 また、協業関係にある米サンディスクは、両社の合弁事業を2034年12月まで延長。最高技術責任者のアルパー・イルクバハール氏は「「キオクシアとの強固なパートナーシップと、NANDフラッシュ技術の革新を共に推進する」と話した。

 AI向けの旺盛な需要を受け、市場からの期待が高いキオクシアだが、現在の投資計画は年間約4700億円。ライバルの韓国・SKハイニックスは約8兆円、同・サムスン電子は約5.6兆円の投資計画を打ち出しており、投資額は1ケタ違う。

 太田氏は「投資を緩めるべきだというシグナルは見えない」と意気込むが、半導体メモリーの市場はこれまでも、何度も好況と不況の波を繰り返してきた。果たして、今回のAI需要はどこまで続くのか。今後の各社の投資戦略が注目される。

【AI、利用しないリスク】ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト・矢嶋康次