新型コロナウイルスの感染者数が再び増加に転じている。東京などの都市では1日の感染者数が連日過去最多を更新、世界では再びロックダウンに入ったところもある。まさに第3波襲来だ。3月に始まった休校、そして4月の緊急事態宣言から8カ月。日本に住む人々の日常と仕事はどう変化し、感情はどう変わったのか?Googleの調査をもとに、今の日本人の姿を見直してみたい。

オンライン活動は緊急事態発令直後がピーク

新型コロナウイルスの感染拡大という予想もできない変化に見舞われた2020年。GoogleのマーケットインサイトチームはIntageと組み、全世界レベルの変化に対して日本に住む人がどのように対応しているのかを、感情の変化とともに調べ、ダッシュボードで公開している。本稿は、2020年11月27日に最終更新されたデータを基にしている。

ダッシュボードで公開しているのは、Googleとインテージが4月11日の緊急事態宣言発令以来続けている週次調査「生活動向に関する週次調査」の一部だ。調査は全国を対象に、Webサーベイ形式で行い、新型コロナに対する行動、そして新型コロナの生活と仕事への影響、気持ちへの影響を探っている。

ダッシュボードでは、「感染不安・予防行動」「前向きな気持ち・不安な気持ち」「オンライン活動・オフライン活動」「働き方のオンライン活動・オフライン活動」「デジタルコンテンツ利用」「生活満足度」と6つに大きく分類し、グラフを用いて視覚的に表示している。

「感染不安・予防行動」の推移

例えば「感染不安・予防行動」は、1週目(4月11日~17日)を基準値100とすると、11週目(6月20日~26日)にかけて減少したのち、再び17週目(7月25日~31日)にかけて上昇し、また29週目(10月24日~30日)にかけて減少したのち、上昇している。予防行動の実施率は感染不安に少し遅れて追随する傾向を見せている。

  • 「感染不安・予防行動」の推移 資料:Google「生活動向に関する週次調査」

8週目(5月30日~6月5日)から計測を開始した予防行動(感染および感染拡大を予防するための生活習慣の実施率)は8週目の100に対し、87(16週目、7月25日~31日)が最も低く、107(28週目、10月17日~23日)が最も高い。感染不安と予防行動を組み合わせてみると、不安が低くなる時は予防に関する行動が高くなるというグラフが描かれている。

「オンライン・オフライン活動」の推移

余暇、買い物、情報検索など日常生活における「オンライン・オフライン活動」については、1週目(4月11日~17日)の基準値100に対し、オンライン活動が急増した。ゴールデンウィーク直後にあたる5週目(5月9日~15日)に最高値の122、夏休みが終わった後の23週目(9月12日~18日)に最低値の83.8を記録している。オンライン活動の内訳で多いのは「情報検索」と「買い物」。

  • 「オンライン・オフライン活動」の推移 資料:Google「生活動向に関する週次調査」

オフライン活動(余暇、買い物、情報探索など日常生活活動における非オンライン利用の程度)は、32週目(11月14日~20日)がピーク。なお、6週目(5月16日~22日)以降は1週目の基準値を上回っている。

「デジタルコンテンツ利用」の推移

関連して、余暇時間におけるオンライン動画視聴、SNS利用、ゲーム、電車書籍などのデジタルコンテンツの利用率を数値化した「デジタルコンテンツ利用」を見てみよう。6月後半から7月前半をのぞくと軒並み1週目の基準値100を上回っている。

  • 「デジタルコンテンツ利用」の推移 資料:Google「生活動向に関する週次調査」

内訳としては、「無料動画配信サービス」「有料動画配信サービス」「音楽配信サービス」「SNS」「ゲーム」(ゲーム機、スマートフォン、PCの3区分)、「電子書籍・コミック」「新聞・雑誌の電子版」「オンライン学習」について利用を調べている。

1週目が休校中だったこともありオンライン学習は5週目(5月9~15日)をピークにあまり増加していない。ゲーム機のゲームも増減があまりなく、サブスク型で提供されることが多い動画(無料、有料)、音楽の両配信サービスについては有料の動画配信が基準値を下回る週が多いのに対し、無料は基準値を上回る傾向にある。音楽配信はピークの29週目(10月24日~30日)の154など全体として基準値を大きく上回っている。

「働き方のオンライン活動、オフライン活動」の推移

一方、働き方に変化は見られるのだろうか。ビデオ会議、オンラインイベント・セミナーなどのオンライン活動、営業などの外出、出張、オフラインのイベントやセミナー参加などオフライン活動については、1週目から14週目、調査方法を変えた15週目から現在まで、夏休みと思われる18週目(8月8日~14日)に、ともに基準値から大きく減った以外は、なだらかな増減の曲線を描いている。

  • 「オンライン活動、オフライン活動(働き方)」の推移 資料:Google「生活動向に関する週次調査」

25週目(9月26日~10月2日)以降、ほぼオフラインがオンラインを上回る傾向が続いていたが、直近の33週目(11月21日~27日)は再びオンラインが逆転している。

「生活に対する満足度」の推移

新型コロナの感染リスクとともに生きる生活に対する満足度は、決して悪くない。食事、余暇の過ごし方、買い物、食事、情報収集の4つについて満足度をたずねた「生活満足度」は2週目(4月18日~24日)と3週目(4月25日~5月1日)に下がったほかは、概して1週目の基準値を上回っている。

  • 「生活に対する満足度」の推移 資料:Google「生活動向に関する週次調査」

同調査では、気持ちが前向きか・不安かを知るため、前向きな要素として「楽しもうと思う」「充実させたい」「立て直したい」「前より良くしたい」「他人のために役立てたい」「周りの人たちと助け合いたい」、不安な気持ちの要素として「以前に戻したい」「認めたくない」「恐ろしいと思う」「嫌だと思う」「誰かに助けてほしいと思う」「絶望している」「諦めている」「疲れている」を用意している。

1週目の基準値100に対し、10週目(6月13日~19日)までは前向きな気持ちが基準値を上回り、不安な気持ちは基準値を下回っていたが、その後現在まで前向きな気持ちが基準値を下回っている。一方、不安な気持ちは感染者数の増加とほぼ連動した形となり、10週目(6月13日~19日)が最も低く、16週目(7月25日~31日)から18週目までが高く、32週目(11月14日~20日)、33週目(11月21日~27日)と再び増加した。

  • 「生活・暮らしにおける前向きな気持ち、不安な気持ち」の推移。不安な気持ちは11月14日の週から高まっている 引用:Google「生活動向に関する週次調査」

    「生活・暮らしにおける前向きな気持ち、不安な気持ち」の推移 資料:Google「生活動向に関する週次調査」