大和ハウス工業とNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は12月3日、大和ハウス工業が開発したマルチテナント型物流施設「DPL市川」において、NTT Comが提供するAI映像解析ソリューション「COTOHA Takumi Eyes」を活用し、物流施設で初めて施設内に設置したカメラ映像から利用者のマスク着用有無や、施設内カフェテリアの混雑度を自動で検知する実証実験を同4日から開始すると発表した。

実証実験では、利用者が当施設に入館する際にCOTOHA Takumi Eyesがマスク着用の有無を判定し、マスク装着を促すメッセージを当施設入口のモニターに表示することや、共用スペースであるカフェテリアの混雑度を検知して、エリア別の混雑状況や入場を制限するメッセージをカフェテリア入口に設置されたモニターを介して利用者に伝えることで、新型コロナウイルスなどの感染症拡大防止対策としての有効性を検証する。

COTOHA Takumi Eyesは、防犯カメラなどの映像から顔照合技術と全身照合技術を組み合わせることで、人物を検出・追跡するNTT ComのAI映像解析ソリューション。コロナ禍の状況を考慮し、マスク着用の状態でも人物照合を可能とする機能を追加した。

同機能を応用することでカメラ映像からリアルタイムにマスク着用の有無を検知し、マスクをしていない人物に対して注意を促す「COTOHA Takumi Eyes マスク検知機能」を新たに提供する。

実証実験では、DPL市川の入口付近に設置したカメラ映像から利用者が入館する際にマスク着用の有無を判定し、マスク未着用の場合は同じく入口付近に設置したモニターにマスク着用を促す警告文を表示することに加え、アラート音を鳴らすことで注意を促す。

  • マスク着用判定画面

    マスク着用判定画面

また「混雑度可視化機能」を使い、施設のカフェテリア入口付近に設置したカメラの映像を元に出入りの人数をカウント。あらかじめ設定した人数を超えた場合は、同じくカフェテリア入口付近に設置したモニターに警告文を表示することに加え、アラート音を鳴らすことで注意を促し、利用者の入場を制限する。

さらに、カフェテリアのエリアごとに設置したカメラの映像を元に混雑度を計測し、利用者に各エリアの混雑状況をモニターに表示。モニターではカフェテリアのリアルタイムな映像が確認できるが、個人情報保護のため、人物はシルエット表示される。なお、実証実験で利用するカメラ映像は、2か月間保存・利用し、期間終了後に消去する。

  • 混雑度可視化画面と入場制限画面

    混雑度可視化画面と入場制限画面

大和ハウス工業では実証実験の結果を踏まえ、一部のマルチテナント型物流施設にCOTOHA Takumi Eyesを標準で採用することを検討し、両社は同ソリューションの継続的な改善に取り組むとともに、ウィズコロナ・アフターコロナに対応したニューノーマルなマルチテナント型物流施設の実現を目指す。

今後は、サーマルカメラ連携による利用者の体温測定および発熱者の施設内における追跡や、NTT Comが提供するIoTプラットフォームと各種センサを組み合わせることで、施設内の温度管理を行う仕組みの導入なども検討し、安全・安心な場の提供に取り組む考えだ。