日本電気(NEC)は9月30日、デジタルトランスフォーメーション(DX)変革加速に向けて、自社グループの基幹システムを従来のSAP ERP(SAP ECC 6.0)から次世代ERPシステムであるSAP S/4HANAへ刷新する共に、併せてSAP HANAを活用したデジタル経営基盤(ビッグデータ基盤)を構築し、本番稼働を開始したと発表した。既に海外10カ国14拠点に導入し、今後順次グループ各社に展開していく予定。

基幹システムのSAP S/4 HANAへの刷新については、AI(人工知能)、機械学習(ML、マシンラーニング)、データ分析などインテリジェント機能を備えるというSAP S/4 HANAで刷新することで、ビジネスプロセス全体で多様なアプリケーションと連動し、DX化を推進していくとしている。

また、同社のグループ企業であるアビームコンサルティングのサービス「ABeam Cloud Conversion Express Factory for SAP S/4HANA」などを採用し、品質確保・効率化により実行計画を短期に策定した。

工数を要していたテスト工程では、プロセスマイニングツールである「Celonis」とインテリジェントオートメーションである「Blue Prism」を組み合わせた自動テスト方式である「Digital Test」を採用し、工数削減を実現したという。

なお、今回の刷新ではテレワークによる働き方で、当初の計画どおりに既存業務への支障をきたさない品質での導入を実現し、かつ機能棚卸により約40%の機能を削減したとのことだ。

SAP HANAをベースとしたデジタル経営基盤の構築については、大容量のデータを高速に処理するインメモリーデータベースであるSAP HANAの採用により、目的別に用意していたデータベースを統合し、データ加工の工数を削減し、鮮度と精度の高いデータを提供できる情報系プラットフォームを構築した。

さらに、大量のデータの分散処理や管理が可能というCloudera Data Platformの採用によりデータプラットフォームを二層化し、効率的かつ拡張可能で、使いやすいデータ管理を実現しているとのこと。

これにより、ビジネスプロセス全体から上がる情報や企業内外の多様な情報をデジタル経営基盤に一元化し、グループ社員全員がデータ分析することで経営と業務の高度化を図り、DX化を加速していく方針だ。

今後、今回の自社基幹システムのSAP S/4HANAへの刷新とSAP HANAを使用したデジタル経営基盤構築の経験を生かしてSAPの次世代ERPシステムを使用したソリューションを外販し、ユーザー企業のDX化に貢献するという。

同社は、このSAP S/4 HANAへ刷新した基幹システムとデジタル経営基盤を今後グループ各社に順次展開することで、ビジネスプロセス全体の周辺システム刷新に加えて、同社が持つAIなど最先端ICTを使用したDX化をさらに推し進めていくとしている。