西友は10月9日、日立製作所との協創を通じ、AIによる需要予測に基づき自動発注を行うシステムとして、日立の「Hitachi Digital Solution for Retail/AI需要予測型自動発注サービス」を同月から全国の店舗への導入を開始すると発表した。

近年、国内の小売業では、消費者ニーズが多様化する一方で、生産年齢人口の減少に伴う人手不足などを背景に、先進のデジタル技術を活用し、需要変化に即応する高効率な店舗運営に対するニーズが高まっているという。

また、食べることが可能な食品が大量に廃棄される「食品ロス」が社会的な課題となっており、10月1日には「食品ロスの削減の推進に関する法律」が施行され、小売業はその対応を求められている。

これまで西友では、各店舗の担当者が商品ごとに過去の在庫・発注・販売・廃棄量や天候・イベント情報などの複雑な条件を考慮して需要を予測した上で、発注量を決定し、発注作業を行ってきたが、こうした作業は熟練者による経験・ノウハウと一定程度の作業時間を要していたという。

このような状況の中、エブリデー・ロー・コスト(Every Day Low Cost)を推進し、店舗業務の革新に注力する西友と、デジタル技術を活用したLumadaの小売・流通業向けソリューション「Hitachi Digital Solution for Retail」を提供する日立は、2018年から両社の知見・ノウハウを融合し、AIを活用した発注業務の効率化に向けた協創を開始。

今年3月から1カ月間にわたり、西友の3店舗の弁当・惣菜売場の19品目を対象にAI需要予測型自動発注サービスを適用して共同実証実験を行った。

今回の導入対象は、西友が販売する弁当・惣菜売場の商品のうち、同社の自社工場で製造した商品をはじめとした約250アイテム。従来は経験を有する担当者が過去の販売実績などを基に商品ごとに発注を行っていたが、同システムではAIにより店舗・商品ごとに高度な需要予測を行い、それらを基に発注量を決定するとともに、発注作業の自動化を可能にするという。

  • 西友の店舗に導入するAIによる需要予測に基づく自動発注システムのイメージ

    西友の店舗に導入するAIによる需要予測に基づく自動発注システムのイメージ

西友では同システムを導入することで、担当者が従来行っていた発注業務をAIに任せることにより、店内厨房での加工業務や接客などの店舗オペレーションに注力することができるようになるとともに、欠品や食品廃棄ロスの削減を目指す。

システムの運用の流れとしては、西友が店舗の弁当・惣菜売場における過去および発注日の各種データ(商品ごとの在庫・発注・販売・廃棄量、気象、曜日・季節変動、販促イベントなど)を日立に提供する。

一方、日立は西友からのデータをAI需要予測型自動発注サービスを用いて分析することで、店舗別・アイテム別の推奨発注量を自動で算出したものを西友に提供し、実績値と予測値を比較して自動補正を行うことで、需要予測精度の向上を図る。