富士通と富士通総研、ソニー・グローバルエデュケーションは2月27日、外国人留学生の受入・育成を行う教育機関であるヒューマンアカデミーの協力のもと、講座受講履歴や成績データの管理においてブロックチェーン技術の有用性を確認する実証実験を開始した。なお、実証実験は3月29日までを予定している。

近年の日本では、外国人就労者や留学生の増加や多様な人材を受け入れ個性を尊重するダイバーシティの気運が高まっていることに加え、4月から施行される改正出入国管理法により、外国人労働者の受入拡大が見込まれている。

外国人就労者や留学希望学生は、来日前に受講した日本語の講義やテストの結果を受入先の教育機関や企業団体へ提出するが、教育機関側はその受講結果の真偽確認が困難であり、本人の能力に見合った来日後の適切な教育が施せずに語学力の面で課題を抱えてしまい、その後の就労支援が実施できなくなるケースが発生していることが課題だったという。

これらの課題解決に向けて3社はブロックチェーンを活用し、2月27日から3月29日まで富士通のデジタルラーニングプラットフォーム「Fisdom」上で開講しているエドベックの「日本語検定対策講座(にほんごdojo)」を留学希望学生に受講してもらい、その受講データをブロックチェーン上で管理し、ヒューマンアカデミーがそのデータを活用し真偽確認を実施する、一連の流れを実証する。

具体的には留学希望学生から提出される学習証明書の記載内容とブロックチェーン上に蓄積された受講履歴や成績などの学習データを照合することで、留学希望者には留学前に富士通が提供しているFisdom上から日本語検定対策講座を受講してもらい、試験点数や日本語会話力、学習時間などをデータで収集し、証明書としてブロックチェーン上に格納する。

ヒューマンアカデミーは、留学希望学生から提出される学習証明書をブロックチェーン上の証明書データと照合することで、信頼性の高いデータをもとに個々の語学能力を正確に把握し、留学後における個々の能力に見合った適切な教育を支援することが可能になるという。

  • 実証実験のイメージ

    実証実験のイメージ

各社の役割としてソニー・グローバルエデュケーションは富士通のブロックチェーン技術を活用し、信頼性の高い証明書発行と検証の機能を提供、富士通はFisdomの教育機関への提供と、ブロックチェーンのクラウドサービスをソニー・グローバルエデュケーションに提供、富士通総研は教育機関に対するニーズ調査や社会実装に向けたビジネスモデルを提案する。

今後、3社は学習ログや成績情報をさらに多角的に解析することで、学習姿勢やプロセスをも評価できる取り組みも検討していく考えだ。