Appier 企業向けAI専任開発部長 チャールズ・エン氏

Appierは8月7日、AIを活用したマーケティング・オートメーション・プラットフォーム「AIQUA」の提供を開始した。同社は見込み客の選定と獲得を行うプログラマティックプラットフォーム「CrossX」、オーディエンスの精査を行うデータサイエンスプラットフォーム「AIXON」を提供しているが、「AIQUA」は マーケターが顧客との関係性を強化・維持し、顧客のライフタイムバリューを高めることを可能にする。

企業向けAI専任開発部長 チャールズ・エン氏は、AIQUAについて、「マーケティングオートメーションを1つのシステムで実現できるプラットフォーム。顧客企業のデータ、われわれのデータベースであるCross X、顧客の外部のサイトのユーザーの行動を分析して、ターゲットとなる顧客に対し、適切なタイミングで、適切なデバイスを介してパーソナライズされたコミュニケーションをとることを可能にする」と説明した。

  • 「AIQUA」の同社製品ラインアップにおける位置づけ

  • 「AIQUA」の概要

エン氏はAIQUAの特徴として、「クロスデバイスユーザー分類」「自社/外部ユーザーの嗜好分類」の2点を挙げた。

「クロスデバイスユーザー分類」とは、Webサイトへのログインの有無を問わず、複数のデバイスを保有するユーザーを特定し、エンゲージメントを構築することを意味する。

昨今、タブレット、PC、スマートフォンと1人で複数のデバイスを使いこなす人が増えているが、一般的なマーケティングツールではデバイスごとにユーザーが認識されてしまうことから、データの分裂が生じ、これが効果的なマーケティングを妨げているという。

AIQUAでは、Cross Xデータベースを用いて、複数のデバイスを1人のユーザーに正確にひもづける。これにより、デバイスを横断して、適切なタイミングで、ユーザーにメッセージを送信することが可能になる。

例えば、タブレットで洋服をECサイトのカートに入れたままの状態になっているユーザーに対し、一定の時間が経ったら、ユーザーのスマートフォンに対し、カートに商品が入ったままになっていることを通知することで、購入を促進するといったことができる。

「自社/外部ユーザーの嗜好分類」では、新規および既存顧客の最新の行動傾向や興味を理解することで、彼らとの関係構築に最善のアクションをとることを可能にする。

エン氏は、「Webサイトの訪問者の3割が自分に関係のないコンテンツが表示されることで、閲覧を中止するといった調査結果が出ているが、マーケターにとって大量のコンバージョンの喪失は大きな課題。AIQUAでは、外部の情報を活用してユーザーの嗜好を把握することで、ファーストインプレッションにおいてパーソナライズされたコンテンツの表示を実現し、この課題を解決する」と説明した。

AIQUAでは、初めてサイトに訪問した際にユーザーが関心を持っているコンテンツを見せ、ユーザーが商品の購入に至らなかった場合は、最適なタイミングでデバイスを横断して、ユーザーの行動や趣味に合致したメッセージを配信する。

  • 顧客の趣味嗜好を理解してエンゲージメントを獲得する

エン氏は、AIQUAのさらなる特徴として、3つのステップを踏むだけでマーケティングオートメーションを開始できることを紹介した。3つのステップとは、「簡単な操作による設定でクラウドベースのサービスが利用可能になる」「AppierのAI技術により、自動的に顧客の保有デバイスを把握、自社と自社以外のプラットフォーム上の顧客の行動を理解」「各顧客に合致したメッセージを生成して、最適な時間と方針で送信」となる。

エン氏は、AIQUAの用途として「アプリとWebサイトを横断した行動データを自社サイトの外の履歴を同時に一元化」「サイト上のイベントトリガー、サイト外の行動、属性、興味によるオーディエンスの分類、最適なオーディエンスのターゲティング」「独自コンテンツおよびメッセージテンプレートを用いた顧客に特化したコミュニケーション」「複数のチャネルと通じ、簡単な操作で顧客にリーチ」を挙げた。