世の中に変革をもたらす「デジタライゼーション」。その牽引役として期待の高まる「ワイヤレス」と「IoT」に関連した製品やサービス、ソリューションが一堂に会する展示会「ワイヤレスジャパン2018」。5月23日から25日までの3日間、東京ビッグサイトで開催された本イベント会場には、あらゆる産業や社会基盤に大きな変革をもたらす可能性を感じさせてくれる展示物で埋め尽くされていた。本稿では、製造業や農業など様々な業種・業態で導入の促進が進むIoTに関するソリューションを展示していたNTT東日本(東日本電信電話)ブースの様子をお届けしていこう。
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ブースには、大型のタッチ対応ディスプレイにてNTT東日本のIoTへの取り組みが纏められたスライドを来場者が自由に見ることができた。ディスプレイの設置された台の上には、IoTをどのような場面で利活用するのかがイメージされたミニチュアジオラマも
NTT東日本では「IoT Next,together.」というキャッチコピーのもと、“次の”IoTビジネス創出、サポートを行っていくという。NTT東日本が築き上げてきた電話回線や光回線網に代表される通信インフラ、大容量の映像や音声といった通信サービスで培った課題解決能力や提案力、そして地域に密着したきめ細やかなサービス・サポート体制に代表される3つの強みを活かし、豊かな社会実現に向けたブロードバンドIoTで顧客が抱える課題解決のサポートはもちろん、新たなビジネスの創出を支援する。
今回NTT東日本ブースで展示されていたのは、「農業×IoT」「倉庫業×IoT」「工場×IoT」「自治体×IoT」と様々な業種・業態、立場でIoTを活用することでどんな価値を創造できるかを見ることができた。まず、「農業×IoT」では各種センシングデバイスで集積した情報を見える化することにより、生産性の向上や労働力不足のサポートに取り組んでいた。既に農業法人や畜産農家、JA等と連携して個人農家ともトライアルを行っている実績があり、展示コーナーでは国産ワインで脚光を浴びる山梨県山梨市のぶどう農家との事例が紹介されていた。スマート農業を実践するために必要な農業向けIoTセンサーやカメラ、通信環境、そして、それらに対応したクラウドサービスがパッケージ化されており、作物の生育環境の視覚化や実際に現場へ足を運ばなくても遠隔地から状況が手に取るようにわかるため例えば巡回の手間といった従事者の負担軽減に寄与するという。
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ぶどう農家とともに行われたトライアル事例。ビニールハウス内に設置されたネットワークカメラや各種センサーの情報をクラウド上へ。そして遠隔地からハウス内の状況把握はもちろん、データを元にした最適な栽培が行える
「倉庫業×IoT」のトライアル事例の紹介では、作業従事者が身に付けたウェアラブルデバイスからバイタルデータや位置情報を取得して体調不良の検知や危険区域に立ち入った際などに警告を通知する、デバイスのカメラを用いて顔認証による勤怠管理の実践などを行っていた。ユニークかつ実用的だと感じさせられたのが、多国籍作業従事者への作業指示をクラウド上で翻訳しスムーズなコミュニケーションを図ろうという取り組み。まだ改善の余地があるとのことだったが、実際の現場環境を鑑みると今後そのニーズへの対応は必須になるのではないだろうか。
また、「工場×IoT」ではセンサーカメラを活用して設備の異常検知やライン稼働状況の効率化、設備が異常停止してしまった際の対応などでトライアルがなされていた。「自治体×IoT」の事例では、中野区の商店街「中野サンモール」で取り組まれた映像による来訪者の分析が紹介されていた。その他、文化観光分野の対話コーパスや頻出フレーズなどに強みを持つAI翻訳サービス「ひかりクラウド cototoba(コトトバ)」を用いたインバウンド向けの展示も見られ、産業の垣根を越えた提案の幅広さを見せてくれていた。電話・光回線網といった力強い通信インフラの力に加え、今まで培ってきた課題解決能力プラス新たなテクノロジーを活かした新規ビジネス創出のサポート。その展示内容からは、NTT東日本らしい盤石さを感じさせてくれた。