米PayPalは5月24日 (現地時間)、Googleとのパートナーシップを強化し、Googleのエコシステム全体でPayPalのサービスをより便利に利用できるようGoogle Payに密に統合する計画を明らかにした。

2014年5月にGoogleがGoogle Playストアの決済オプションにPayPalを追加し、昨年4月にはAndroid Payの実店舗およびオンラインでの買い物の支払いにPayPalを使えるようにするなど、GoogleとPayPalは数年をかけて提携関係を深めてきた。今回のパートナーシップ強化では、よりシームレスな支払い体験を実現するサービス統合に踏み出す。まずは米国から、GoogleのいずれかのサービスでPayPalを追加するだけで、自動的に他のGoogleサービスでもPayPalを使用できるようにする。たとえば、Google PlayアカウントにPayPalを追加すると、GmailやGoogleドライブ、YouTube、Google Pay、そしてGoogleが提供するピアツーピア支払い (個人間支払い)にも、ログインを繰り返すことなくPayPalで決済できるようになる。

PayPalのCOOであるBill Ready氏は「PayPalとGoogle Payは、よりシームレスな買い物体験を提供するプラットフォーム全体におよぶシンプルな支払いソリューションの構築という目的を共有している」と述べる。

PayPalとGoogle Payは支払いソリューションとして競合する関係でもあるが、米国において決済ネットワークをリードするPayPalと情報検索を強みとするGoogleが協力するメリットは大きい。何かオンラインでモノを買う時に、Googleを使って情報を収集しても、そこからAmazonに移って商品を探して購入する人が少なくない。Amazonの強みの1つが、数クリックで支払いを済ませられる買い物体験である。AppleのApple Payも、Touch IDやFace IDを使って簡単に支払いを完了させられるのが強みだ。また、オンラインストアでショッピングカートに入れた商品を購入する段階で、PayPalに移ってPayPalアカウントにログインするというような支払いステップの途中で買い物客の気が変わって購入を止めることもある。

安全で簡単に、そしてすばやく支払いを済ませられる体験が大きな違いを生み出すから、PayPalとGoogleはシームレスな体験を重視する。提携強化は、それぞれの強みを活かして、シームレスコマースでAmazonやAppleに対抗するのが狙いと見られている。