電力シェアリングは4月23日、環境省が公募した「平成30年度ブロックチェーン技術を活用した再エネCO2削減価値創出モデル事業」に、電力シェアリングが提案した「自家消費される再エネCO2削減価値の地方部等におけるCtoC取引サプライチェーン検討事業」が採択されたと発表した。

今回の採択に合わせて、電力シェアリングは再生可能エネルギーによるCO2(二酸化炭素)の削減価値をCtoC(Customer to Customer)で取引することに向けた実験を6月から開始する。

この実験は、ソフトバンク、ソフトバンクグループのPSソリューションズ、LIXIL TEPCO スマートパートナーズ、TEPCO i-フロンティアズ、ローカルエナジー、夏野剛事務所、サイバー創研、地球環境戦略研究機関の協力を受け、実施する。

これまでも温室効果ガス排出量を取引する仕組みはあったものの、手続きが煩雑であるため普及しにくいことが課題となっていたほか、一般家庭における再生可能エネルギーの消費量は法人と比較して少なく、CO2削減価値を適切に評価することが困難であったため、取引は一定の規模の法人に限定されてしまう傾向にあったという。

今回の事業では、再生可能エネルギー利用量を個人にひも付けて把握し、データ収集するソリューションをブロックチェーン技術と連携させることで、各家庭で創出される再生可能エネルギーによるCO2削減価値を低コストで、容易にかつ自由にCtoCで取引することを可能にするという。

  • 「自家消費される再エネCO2削減価値の地方部等におけるCtoC取引サプライチェーン検討事業」イメージ

    「自家消費される再エネCO2削減価値の地方部等におけるCtoC取引サプライチェーン検討事業」イメージ

実験では、この仕組みに活用される技術の検証およびビジネスモデルの評価を行い、電力シェアリングと実験の協力各社は、自家消費された再生可能エネルギーによるCO2削減価値が適切に評価される社会への変革を推進し、低炭素、脱炭素社会の実現に貢献することを目指す考えだ。

各社の役割として、電力シェアリングはブロックチェーン技術の応用に関する知見を生かし、事業全体を統括するとともに、CO2削減価値の取引システムの設計と事業計画を担当。

ソフトバンクはエネルギー利用トランザクションエンジン「ユビ電」を提供し、実験ではPSソリューションズが運営する電動バイクのレンタルサービス事業「瀬戸内カレン」において、充電で消費される電力をCO2削減価値にひも付けて管理する。

PSソリューションズは、瀬戸内カレンで利用している「IoMT(Internet of Moving Things :「動くモノ」に特化したIoT)プラットフォーム」をクラウドシステムとして提供。ユビ電で収集する再生可能エネルギー利用トランザクションデータをIoMTプラットフォームに蓄積し、ブロックチェーン技術と連携させることでCO2削減価値のCtoC取引が可能になるほか、各家庭におけるCO2削減価値を買い取り、瀬戸内カレンで低炭素事業を実証する。

LIXIL TEPCO スマートパートナーズは、住宅設備の販売ネットワークおよび顧客ベースを活用し、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)・太陽光発電システムの顧客をターゲットとしたサプライチェーンを構築。

TEPCO i-フロンティアズは東京電力エナジーパートナーの2000万軒を超える顧客を対象に、CO2削減価値を組み込んだ電気料金の設計を行うことに加え、購入支援策の検討も行う。

ローカルエナジーは、近隣地域内における地産再生可能エネルギーによるCO2削減価値の取引について検討。

夏野剛事務所は価値取引アプリケーションを活用したマーケティングとユーザーエクスペリエンスの評価を行う。

サイバー創研は、情報システムソフトや携帯電話無線機システムの設計・開発などICT分野で培った知見を活用し、CO2削減価値取引のインタフェース設計と運用を評価する。

地球環境戦略研究機関は気候変動やエネルギー分野で革新的な政策手法を開発するほか、環境対策の戦略策定を目的とした政策的かつ実践的な研究を実施。