国立がん研究センター中央病院は、がん患者の労働生産性(仕事のパフォーマンス)を含めた療養状況(QOL:Quality of life)の実態を把握し、治療開発における指標を構築するための研究を開始すると発表した。

毎日のアンケート調査(QOL調査)はログとしてグラフ化される。同じ病気人のパフォーマンスと自分のパフォーマンスを比較したり、副作用ログを取ったり、診察日や治療日をカレンダー管理することもできる。

同研究は、がん治療と仕事のパフォーマンスなど、患者の生活の質について実態を明らかにし、療養環境を改善する新たな指標構築を目指すもの。 近年、働きながらがん治療を行う患者が増えているが、治療による副作用は、仕事のパフォーマンス(プレゼンティズム/アブセンティズム)など生活の質に大きく影響するため、在宅での副作用管理や事業所による配慮のあり方等の検討が急務となっているという。

同研究における実態調査は、Appleの医学研究のためのフレームワーク「ResearchKit」を使用し開発したiPhoneアプリケーション「がんコル(QOL)」(がん患者QOL)を用いて行われる。同アプリでは、療養状況や労働生産性の評価において世界的に検証されている質問事項を設定し、患者自身が療養の質や仕事のパフォーマンスを評価する。

同研究に参加する患者は、継続的に自己評価を行うことで、過去の評価により導き出される現在のパフォーマンス評価(絶対的プレゼンティズム)や、同じがんや同世代の患者のパフォーマンスの平均値を見ることができる。また、治療内容やコメントが入力できるカレンダー機能もあり、体調管理に役立てることも出来るようになっている。国立がん研究センターでは、この評価を数値化したデータ(個人情報は含まれない)を収集し、解析を行い研究に活用するということだ。

研究対象者は、がん患者を中心に、研究内容に同意すれば誰でも参加可能。がん患者以外のデータは、対照データとして活用されるという。 参加方法は、App Storeより「がんコル(QOL)」アプリをダウンロードすることで参加できる。操作方法など詳細は、同センターWebページを参照のこと。