日本電気(NEC)と三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)・三井住友銀行(SMBC)・三井住友カードは12日、FinTechへの取り組みの一環として、顔認証を活用した決済サービスの実証実験を行うと発表した。

SMBC本店・東館社員食堂での利用フロー

今回の実証実験では、NECの顔認証エンジン「NeoFace」を利用し、事前に撮影・登録した社員の顔画像と、食堂に設置したカメラで撮影する顔画像を照合して本人確認を行う。

実施場所によって決済時の手順が異なり、SMBC本店・東館の社員食堂では、顔認証に加えて社員証を専用リーダーへかざし、顔認証の成否データと決済データの突き合わせを行う。一方、三井住友カード東京本社の社員食堂では、顔認証のみで決済を実施する。いずれも、利用情報を給与システムに連携し、給与天引きで精算する。

三井住友カード東京本社での利用イメージ

生体認証は他の認証手段と比べて成りすましが困難で、またカード等物理的なID情報を携帯する必要がないといったメリットがあることから、様々な分野で活用され始めている。この実証実験によって認証性能や利用者の生体認証に対する受容性、運用負荷などといったシステム・運用面の確認を行い、実店舗での顔認証を活用した決済サービスの提供を見据えた経験・ノウハウの蓄積を図るのが狙いだ。

SMBCでの実験期間は2016年12月12日~2017年1月30日まで、対象者はSMBCの本店・東館に勤務する社員約1,000名。また、三井住友カードでの実験期間は2016年11月21日~2017年1月31日まで、対象者は三井住友カードの東京本社に勤務する社員約400名となっている。

なお、三井住友カードは、この実証実験を通じて、顔認証を活用した決済サービスの商用化に向けた課題を検証し、実際の店舗への導入を推進して行く予定。一方、SMFGでは、今後、SMBCやNEC、三井住友カードと共に、顔認証決済サービスを社会へ普及させる支援を行いつつ店頭・行内業務への応用可能性を探る想定だ。