米IBMはこのほど、NVIDIAの最新テクノロジーに最適化された新ディープ・ラーニング・ツールで提携したことを発表した。このツールは、コンピューターをより高速化し、かつ人間のように思考し学習できるように訓練することに役立つという。

今回、発表した新しいディープ・ラーニング・ソフトウェア・ツールキット「IBM PowerAI」は、9月に発表したAI向けIBMサーバ「「IBM Power S822LC for HPC」上で実行し、同社のPOWERアーキテクチャーに最適化されたNVIDIA NVLinkインターコネクト技術を実装していることが特徴。

「OpenPOWER LC Servers」

このハードウェアとソフトウェアを組み合わせたソリューションにより、Caffeを用いてAlexNetを実行する同等の4GPUサーバの2倍以上のパフォーマンスを実現。また、4つのGPUを搭載するPOWERベースの構成で、BVLC Caffeを用いてAlexNetを実行する場合、M40 GPUを8個搭載するx86構成のパフォーマンスを上回り、主要なディープ・ラーニング・フレームワークの2つのバージョンにおける、世界最速の商用エンタープライズ・システム・プラットフォームだという。

Caffeは広く使用されているディープ・ラーニング・フレームワークで、Berkeley Vision and Learning Center(BVLC)により開発。IBM PowerAIツールキットで使用可能なディープ・ラーニング・ソフトウェア・フレームワークの1つで、cuDNN、cuBLAS、NCCLなどのNVIDIA GPUDLライブラリをNVIDIA SDKの一部として活用し、IBMのサーバ上でマルチGPUアクセラレーションを実現するとしている。

IBM PowerAIは、特にディープ・ラーニングの新しいコンピューティング方式をサポートしていることに加え、IBM Power S822LC for HPCサーバを利用するユーザーに無料で即時提供される。また、単一のS822LCサーバで稼働するように設計されているが、数十台から数百台、場合によっては数千台規模の大規模スーパーコンピューティング・クラスターでの運用を目的に拡張することも可能だという。