12月8日から9日にかけて「Oracle Cloud Days Tokyo」が都内のホテルで開催され、最新のクラウドテクノロジーや製品、サービス、活用事例についての紹介が行われた。その中で「マーケティングオートメーション、ソーシャルメディアを使った最新鋭のデジタルマーケティング営業の仕組みとは?」と題した講演を行ったのは、インベスターズクラウド IT本部 執行役員 本部長である吉村直也氏だ。

インベスターズクラウドは、アパート経営に特化した不動産投資を扱っている。一般に不動産投資の営業活動というとテレアポを中心としたアウトバウンドが想像されるが、インベスターズクラウドの場合は、基本的に広告等を見た問い合わせに対応するインバウンド対応を中心に活動しているという。

インベスターズクラウド IT本部 執行役員 本部長 吉村直也氏

「アウトバウンドの営業はできる人はどんどんこなし、スキルがあがり、ゆくゆくは独り立ちしてしまう。できない人は契約も取れず辞めていってしまう。結局、人が残らないようなスキームなので、インバウンドでやっていこうと決めているのです」と吉村氏は語る。

この営業スタイルを支えるのが、数多くのメディアに対する広告出稿だ。テレビCM、雑誌、新聞、ラジオなどに出稿し、その解析はGoogle Analyticsや経営解析ツール、広告効果測定システム等で行い、クライアントへのヒアリングも行ってきた。しかし、明確に分析できる情報が集まらなかったという。そこでデジタルマーケティングによるWeb集客を実施。結果として潤沢な見込み客を獲得することに成功したという。

「広告の結果がわかりやすくなり、常に効果測定を行いながら効率的な運用を行う中で、クライアントとソーシャルメディアとの意外な関連性が確認できたのです。今までの広告媒体では新たな広告で数%しか成約が増えませんでしたが、SNS関連広告では13%も増加する結果が出たことで、連携の分析を行うのが重要だと認識しました」と吉村氏。

そこで選択したのが、モニタリング、リスニング、コンテンツ開発、SNS管理をフォローアップしてくれる「Oracle Social Cloud」だ。

SNS関連広告の効果が高いことを認識して「Oracle Social Cloud」を導入

ユーザーに響くキーワード選択でCTRの大幅向上に成功

「Oracle Social Cloud」の導入目的は、SNSにおけるユーザーからの評価を定量化すること、多様化した消費者ニーズへの対応、コーポレート・レピュテーションへの活用といったものだ。

ユーザー評価の定量化については、SNSでの反響を分析することでネガティブな反応とポジティブな反応の量を確認。単純に検索されている量などではなく、意義のあるポジティブな反応の量を確認することで、ユーザー評価が向上する方向へとリリース方法をシフトすることが決められたという。

多様化した消費者ニーズへの対応については、実例をいくつか挙げて紹介。キーワードやコンテンツの選定を、従来は提供側が響くと考えたもので作っていたが、反響を確認しながらユーザー目線に切り替えたことで大きな効果が出たという。

「成功の法則を収録したDVDをプレゼントしていて、非常に好評でしたが、SNSでは誰がいくら稼いでいるのか、どれくらい儲かるのか知りたいという意見が非常に多かったため、誰がいくらということを表に出したキーワードに変更しました」と吉村氏。

講演の中では、実在のユーザー事例から導き出した数字を盛り込んだキーワードの選択を行った事例が3つ紹介されたが、それぞれのクリック率は約3.6倍、約4.1倍、約4.2倍と大幅に向上したという。

同じく、キーワードといくつも盛り込んだバナーから、シンプルに訴えかけるバナーへと変更した結果、クリック率が約2.8倍になった事例も紹介した。

キーワード変更でCTRが大幅に向上

バナー変更でCTR向上に成功

「言うべきことではなく言いたいことを言ってしまうため、ぼやけてしまうところがありました。Oracle Social Cloudによってビッグキーワードに関する消費者ニーズを確認することで、ビッグキーワードに付属するスモールキーワードの選定が容易になりました。また、未確認の広告媒体を見つけることもあり、出稿先の拡充にもつながりました」と吉村氏は成果を語った。