オフィスに調理済みの惣菜やご飯などを提供するサービス「オフィスおかん」を展開しているおかんが7月23日に、バックオフィス担当者を対象とした、オフィス環境や従業員満足度を考える「おかんの井戸端ランチ会」を開催した。

「働く環境を考える人」の情報交換と交流の場を目的として開催された第1回となる今回は、「女性が働きやすい会社の"環境"と"制度"」をテーマに、従業員の約9割を女性が占めるランクアップの広報部 向井亜矢子氏と、従業員が働きやすい職場づくりを行っているアイレップの人事総務本部 総務グループ 久門牧子氏を交えてトークセッションが行われた。

左から、おかん 代表取締役CEO 沢木恵太氏、アイレップ 人事総務本部 総務グループ 久門牧子氏、ランクアップ 広報部 向井亜矢子氏

ママでも、ママでなくても

ランクアップ 広報部 向井亜矢子氏

ランクアップは化粧品の通信販売を行っている企業で、同社が販売している「ホットクレンジングゲル」は@コスメのクレンジングジェル部門で1位を獲得している商品だ。また、同社は商品の話題だけでなく、「ママの多い会社」として多数のメディアに紹介されている。同社によると、従業員43人中男性が2人、と従業員の約9割が女性を占めており、その中でも子育て中の女性は21人、と女性の約半数が"ママ"である。

「私たちの会社は残業ゼロなんです」と向井氏は語った。

「以前は30~40分の残業が発生していましたが、東日本大震災をきっかけに、仕事が早くに終われば終業定時時刻の17時半から30分時間を早めて帰宅できるような制度をつくりました。その結果、従業員が効率的に仕事を行うようになり、ほとんどの従業員が17時に帰宅できるようになりました。この制度は今でも続いていて、17時半まで働くと損をしたような気持ちになるぐらいです(笑)」(向井氏)

同社では、有志のメンバーによる「一生健康で働き隊」というチームを発足しているという。文字通り、一生健康で働くことを推進していくチームだ。「オフィスおかん」の導入もこのチームの取り組みの一つとなっており、そのほかにもスポーツクラブの助成や無農薬野菜の支給などが挙げられている。

ランクアップの取り組み内容

また、同社によると従業員一人あたりの健康に関する手当ては65万円となっており、これは、予算として設定した金額ではなく、計算をした結果算出された金額だという。

「当社では、自己負担額300円で、病児シッターの費用を会社が負担してくれる制度もあります。以前は、子どもが病気の時に何日も会社を休まないといけないと、働き続けていくことへの不安を感じていましたが、病児シッターが利用できるようになってからは、仕事に対するモチベーションを高めることができました」(向井氏)

向井氏は同社の制度について、「『ママだから難しい』ということを解消したい。ただ、半数の女性はママではないので、ママに限らず、従業員全員が健康に働けることを目指した取り組みを目指しています」と語った。

コミュニケーション活性化のための職場づくり

アイレップ 人事総務本部 総務グループ 久門牧子氏

アイレップは、検索型連動広告を中心としたデジタルマーケティングを行っている会社だ。520名いる従業員の中で、女性が6割弱を占めるという、こちらも女性が多く働く会社となっている。

同社の社内環境づくりは「コミュニケーション活性化」が目的となっているという。取り組みの一つである「モーニングサービス」について、久門氏は次のように説明した。

「毎週水曜日の朝8時半~9時15分に、オフィスビル内にあるスターバックスで購入したサンドイッチとコーヒーを従業員に配っています。朝食を食べながら従業員同士コミュニケーションを取って、気持ちよく仕事をスタートしてもらいたいという考えで実施しています。また、朝食を配るのは新入社員の担当で、新入社員とほかの従業員とのコミュニケーションの場にもなっています」(久門氏)

アイレップの取り組み内容

久門氏に働きやすい環境づくりを行うきっかけについてたずねたところ、「会社が急激に大きくなり、従業員が300~400人ぐらいになったあたりから、従業員の顔がわからなくなってきました。このことに危機感を持った経営層が、従業員のコミュニケーションの機会をつくった方がよいと考え、現在のような取り組みが始まりました。当初は各部門から選出されたメンバーでプロジェクトとして活動していましたが、今では人事・総務も連携しながら、会社全体で取り組んでいます」と、説明いただいた。

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「女性が働きやすい会社の"環境"と"制度"」というテーマのトークセッションだったが、両社とも、「女性のため」に限定した取り組みではなく、「従業員全員のため」の取り組みとして活動を行っていた。結果、男性も女性も、育児中の女性もそうでない女性も、対等に仕事が行える環境づくりを実現しているのだろう。