これから就職という人も、すでにバリバリ働いている人も、20代というのはこれから先の長いキャリアの入り口であり、土台となる年代だ。若いからこその失敗もあるし、若いからこそやり直しもきく。だが、いくつかのポイントを押さえておく必要があると助言するのは、臨床心理学博士のMeg Jay氏だ。

Jay氏の話をまとめたForbesの記事「その後のキャリアを台無しにしてしまう9つの誤解とは? (原題 : 9 Job Mistakes That Could Stall Your Entire Carrer)」では、仕事に関する若者の誤解を指摘して正している。米国の若者向けのキャリアアドバイスではあるが、納得できる部分も多いので紹介したい。

誤解その1.一生の仕事を見つけなくてはならない

社会に出て就職するにあたって、一生の仕事を探さなければならないと思い込んでいる人は、もう少し柔らかく考えてもよさそうだ。Jay氏によると、20代は「自分資本」構築に最適の時代とのこと。つまり、いろんな経験を積んで確固たる自分を築き上げるスタートの10年なのだ。絶対にやりたい仕事や理想の仕事に運良く就けなかったとしても、仕事の先にチャンスがあると感じればその仕事をやってみるのもよさそうだ。

実のところ、最初から理想の仕事に就けたという人は稀。もし何らかの目標がすでにあるのなら、いろんなところに入り口があると考えて柔軟に仕事を探そう。

誤解その2.やりたい仕事なら嫌とは感じない

あこがれのファッション業界の仕事、やってみたかった職種……やりがいのある仕事なら苦労とは無縁と勘違いしていないだろうか? 仕事は仕事、必ず最初に学びの期間があり、理想と現実が違うこともよくある。さらには上司や同僚との人間関係もある……ここでJay氏は、苦労を感じないような完璧な仕事か、デスクにつながれた奴隷のような仕事かのどちらかのイメージしかない若者が多いと指摘し、仕事は結婚と同じ、と説明している。結婚すれば幸せが約束されているのではないように、仕事も理想の仕事なら苦労がないわけではない。

誤解その3.仕事が嫌なら辞める

仕事が好きじゃないなら辞めるべきという考え方がある。固執せずに好きな仕事をみつけて、そこで頑張ればいいという考えだ。だが、Jay氏は「ちょっと待って」と言う。仕事が嫌いになったから辞めようと思った場合、以下の4つのことを自問しよう。

  1. いまの仕事のどこが不満? 不幸せの源は?
  2. 経験や体験から学ぶことはあるか?
  3. いまの仕事で好きな部分はある?
  4. この仕事に就こうと思った理由は何だっけ?

その次に、仕事を辞めた後の貯蓄状態も考えたい。もし転職までの間に充分な貯金がなく、1~4から現在の仕事を続ける意味はないと判断した場合、すぐに辞めずに貯蓄すること。辞表を出すのはその後だ。

誤解その4.上司が嫌なら即辞める

Jay氏は上司が不満なら辞めるという考えについても、慎重論を奨めている。20代の間に嫌な上司の下で働くことは辛いと認めながらも、仕事そのものから得るものがあると感じる間は、腹をくくって学びの期間と考えて仕事を続けてはどうか、と助言している。

もし辞める際は、良い雰囲気の中で感謝の気持ちとともに会社を去ること。世界は思っているより狭く、嫌だった上司と辞めた後に別の形で関わる可能性があるから、とJay氏は述べている。