アカマイ・テクノロジーズは3月13日、2013年戦略発表会を開催した。発表会には、同社 職務執行者社長の徳永信二氏が登壇。現在のインターネット環境の課題を踏まえたうえで、アカマイが提供するソリューションについて紹介した。

アカマイ・テクノロジーズ 職務執行者社長 徳永信二氏

徳永氏はまず、アカマイの概略を説明。同社が、「Web技術の欠点を補完する」という考えの下に開始されたMITの研究プロジェクトから生まれた企業であることや、1998年に設立されて以来約15年間で、顧客数4000社超、売上高13億7000万ドルににまで成長してきたこと、さらには日本法人が今年で設立10周年であることなどを紹介した。日本法人に関しては、設立当初はソフトバンクとのジョイントベンチャーというかたちをとったが、1年後に米国の100%子会社となり、現在は350社以上顧客を抱えるまでに成長しているという。

徳永氏は、順調に業績を伸ばしている大きな理由として、2つの技術的特徴を挙げる。

1つは「Akamai Intelligent Platform」と呼ばれる独自のネットワーク網だ。80カ国、700都市にわたり12万8000台超のサーバを設置しており、この環境を使って安定した高速通信を実現している。Akamai Intelligent Platformでは、10Tbps以上のトラフィックを配信しており、世界中のWebトラフィックの15~30%を担っているという。

Akamai Intelligent Platformの概要

もう1つは、同プラットフォーム上で提供される5つのソリューション群。Webサイトの高速化を担う「AQUA」、動画配信やファイルダウンロードを提供するメディア向けに高速化を実現する「SOLA」、企業アプリケーションの高速配信を可能にする「TERRA」、DDoS攻撃やSQLインジェクションなどの外部アタックを防ぐ「KONA」、通信キャリア向けネットワークに最適化したインフラを提供する「AURA」の5種類のソリューションが用意されており、これらを「LUNA Control Center」と呼ばれるコンソールで監視/管理する構成になっている。

Akamiの製品ポートフォリオ

こうした技術基盤のメリットを訴求するべく、アカマイが標榜しているキーワードが「Protect & Perform」だ。徳永氏は、このキーワードについて、「Protectを先に置いている点に大きな意味がある」とし、「KONAにより、まず守る。そのうえでパフォーマンスも確保する。通常、パフォーマンスとセキュリティは相反関係にあり、どちらかを強化するともう一方が犠牲になる傾向にあるが、これらを両立できる点が他に類を見ないアカマイの特長」と説明した。

さらに徳永氏は、日本法人独自の成長戦略も提示。2013年の重点強化分野として、「メディア・エンターテイメント/コマース」、「エンタープライズ」、「セキュリティ」の3つを挙げ、「メディア・エンターテイメント/コマースの企業に対しては高速化という付加価値を提供し、エンタープライズにおいては主に金融/製造/ハイテク/官公庁を対象に、アカマイソリューションが革新をもたらすことを訴求していく。そしてセキュリティでは、KONAを活用することで標的型攻撃などからWebサイトを守れることを、業種横断的にアピールしていく」と強調した。

徳永氏は続けて、「こうした戦略を国内で実践するうえでは、何よりもパートナーが大事」とコメント。特にエンタープライズ分野においては、「ユーザー企業/組織から信頼され、かつインテグレートも任せられるパートナーが必要」と語り、パートナーの支援/開拓に力を注いでいくことを明かした。

最後に徳永氏は、インターネット・トラフィックの調査結果についても言及。2011年時点でも月間30エクサバイトとかなり巨大な数値だが、2016年には約3倍にまで膨れ上がるという数値を示したうえで、「インターネットを下支えするアカマイは、インターネットの成長がすなわち企業としての成長の機会でもある」と強調。「2020年にワールドワイドで50億ドルという売上目標を掲げているが、この数字も確実に達成できる」と語り、今後の事業に対する自信を覗かせた。