皆さん、本日は入社おめでとうございます。日立製作所を代表して皆さんを心から歓迎します。 まず、3月に発生した東北地方太平洋沖地震において被災された方々に、心よりお見舞い申し上げます。日立グループでも大きな被害があり、被災地域の会社、事業所では、操業を停止せざるを得ない状況が続いていましたが、徐々に操業を再開し、復興のために全力を尽くしているところです。また、当初は復旧に何カ月もかかるのではないかと心配していましたが、日立グループ一丸となって取り組んだ結果、復旧の大部分を成し遂げることができました。

今日は、皆さんにお伝えしたいことを三点に絞ってお話します。 一点目は、日立の企業理念と創業の精神です。日立は、小平創業社長が、社会、日本の発展のために始めた会社です。創業者たちは、「技術を通じて、社会に貢献する」ことを企業理念として掲げ、社会のために何ができるのか、真剣な議論を重ねました。そのような歴史の中で生まれたのが、日立創業の精神である「和」「誠」「開拓者精神」です。仲間と上下の隔てなく議論し、結論が出たら一致団結し実行する「和」の心。トラブルがあればお客様に誠意を持って接し、社会からの信頼を得るように必死に努力する「誠」の姿勢。そして、失敗を恐れず、難しい課題にも果敢に挑戦し続ける「開拓者精神」。このような姿勢は、 21世紀の今でも、日立グループに共通する大切なスピリットだと思います。 日立は、過去に何度も大きな困難を乗り越え、大きく、強く成長してきました。そして、今まさに、何度目かの大きな試練を迎えています。しかし、なすべきことは分かっています。事実を見極め、社内の英知を結集し、頭と体を動かして、仲間と一緒にこの危機を乗り越えましょう。今、この時間にも、被災地で、また全国の各事業所で、日立グループの仲間ががんばっています。皆さんも今日からその一員です。多くの危機に立ち向かった先輩の志を思い起こし、家族、街、そして社会を守り抜き、社会の発展に貢献するのだという強い決意をもって、これからの日立を一緒に築いていきましょう。

二つ目は、グローバル化と社会イノベーション事業についてです。大地震の影響で、国内の社会インフラシステムが深刻な危機に直面していますが、それを1日でも早く復旧し、安全、安心な日常生活を取り戻すお手伝いをすることも、日立の使命です。 「社会インフラにイノベーションを」というニーズは、成長著しい新興国だけではなく、先進国においても強いものがあります。多くの国で、環境負荷を低減するという観点から、エネルギー、水、交通、情報通信、行政、医療等、社会のインフラを見直す動きが盛んになっています。加えて、今回の地震・津波を受けて、人々を支える社会のシステムを、原点から今一度見直していこうという動きも出てくるでしょう。日立グループの技術や商品には、大きな関心が寄せられています。それぞれの国や地域の要求に合った商品、サービスを提供していくことは、われわれにとってグローバルビジネスでの大チャンスであり、責任でもあります。 グローバル化が進む社会の中で、これからも「技術を通じて社会に貢献」し続けるために、われわれは、技術により一層磨きをかけ、社会の基本的な仕組みを支える「社会イノベーション事業」を推進していきます。変化のスピードが速まり、先の読みにくいこの時代。これまで経験したことのないようなチャレンジになります。だからこそ、前例に捉われず、自由に仮説を立てて、日立という大きな舞台で思い切って挑戦してもらいたいと思います。

第三の話題は、「One Hitachi」です。日立グループは、多様性に飛んだ人と組織の集合体です。一人ではできない大きなことを、多様な個性と能力をもつ人財の集合体である日立グループという大きな場を使って、力を合わせて実現することができるのです。全体として十分に力を発揮するためには、それぞれの組織、そして一人一人が強くなる必要があります。新入社員の皆さんは、まず、自分が担当する技術、製品、サービスにおいて、世界一をめざしてください。強い者同士の相乗効果こそが、日立グループの強みであり、「One Hitachi」が意味するところなのです。仲間たちとの連携を深め、皆さん流の「One Hitachi」を作り上げてください。