Open Embedded Software Foundation(OESF)は、Androidを利用したシステムの産学共同の研究開発施設として、「OESF Android Open Lab.」を東京都八王子市に開設することを発表した。
同施設はOESFの会員である、エイビットの全面的な協力により、実現したもので、12月末から、順次稼動を開始する予定。
広さ140m2のフロアに、個別セキュリティを完備した7つのプロジェクトルームを設置。エイビットが運営するエイビットスクエアにおいて、コンファレンスルーム、セミナールーム、商談ルームなどの施設も共同利用でき、若き学生、技術者の育成と、企業ではなかなか取り組めない新たな発想をベースとしたアプリケーションやサービスの開発を、教育機関、行政などと共同で推進するための施設を目指すとしている。
具体的には、大学、大学院、高等専門学校などの研究室と、OESFの会員企業が共同で、新しいAndroidをベースとしたスマートメディアのアプリケーション、およびサービス、ハードウェアの開発をプロジェクトとして推進していくほか、世界各国の研究機関との共同研究も予定している。研究成果はOESFを通じて、公開される予定としている。
また、学生、および社会人に対する、Androidによるシステム開発の教育や、体験実習も予定しており、各種Android端末を揃えたテストセンタも順次開設していく予定。管理運営はOESFが中心で行い、会員企業のみならず、多くの企業からのスポンサー支援を募っていく計画で、ここでの成果を、事業化するためのインキュベーション支援にも取り組んでいく予定としている。
加えて、OESFでは、、台北市コンピュータ協会(TCA)と会員間協業の分野で提携することも発表した。
これについてOESFでは、従来、既存の会員同士のビジネスマッチングをサービスとして提供してきたが、会員には組み込みソフトの開発をメインに行っている企業が多く、会員でない台湾のOEM/ODM企業とのマッチングニーズが強くあったことが背景にあり、今回のTCAとの提携により、会員に対し、OESF非会員である台湾企業とも、ビジネスマッチングサービスを提供することが可能になり、主にソフトウェアの開発を得意とするOESFの会員企業と、ハードウェア開発を得意とするOEM/ODMを主軸にする台湾IT企業との技術補完による協業の可能性が広がることになると説明している。
具体的な協業分野としては、展示会、セミナーや検討会の共同開催、教育訓練コースの開催および招致、OESF各ワーキンググループの成果紹介およびオープンソース化利用の推進、を想定しているほか、製品化に向けた協業については、STB関連(IP-TV)、VoIP関連(IP電話、情報通信端末)、家電関連(デジタルTV、カラオケ)、モバイル関連(カーナビ、eBook、タブレットPC)、計測、制御関連(デジタルサイネージ、ヘルスケア商品)などの製品群を手始めに、具体的な事例を増やしていくことを目指すとしている。
さらに、OESFでは、新規のAndroidトレーニングコース2つを開発、国内外で展開していくことも明らかにしている。
新たに追加されたのは、Androidアプリケーション開発技術者向けとして「Androidアプリケーション開発応用トレーニング」、「Androidアプリケーション応用WebAPI 開発トレーニング」の2コースで、順次開講していく予定。各コースは、フランチャイジー各社で実施され、OESF認定トレーナーによる講義が提供されるほか、教本はクリエイティブ・コモンズ(Creative Commons)ライセンスとなっておりOESF加入メンバによる利用・改変が可能となっている。
これらのトレーニングは、都内5カ所、横浜1カ所、仙台1カ所で実施・運営しており今後全国へ拡大していく予定。また、海外では、すでに実施している中国に続き、台湾・ベトナム・韓国・スーダンでも開講を予定している。なお、11月より開始したAndroid技術者認定試験も順次各国に展開していく計画としている。