東芝は11日、私的録画補償金管理協会(SARVH)が同社に対し、アナログチューナー非搭載のDVDレコーダへの「私的録画補償金」の支払いを求めて東京地方裁判所に提訴した件について、同社の見解を発表した。

私的録画補償金の支払いの根拠となっている私的録音録画補償金制度は、私的使用を目的とした個人または家庭内での著作物の複製について、一定の割合で録音録画機器のメーカーから補償金を徴収し、著作権権利者への利益還元を図ることを目的とした制度となっている。この補償金を巡り、文化庁では「私的録音録画小委員会」で議論してきたが、iPodなどの携帯音楽プレイヤーやHDDレコーダ、PCといった現行の補償金制度外の機器についても対象に含めるよう求める権利者側と、著作権保護技術の進歩を理由に同制度の縮小を求めるメーカー側の主張は大きく異なり、結局、結論は得られなかった

今回問題になっているのは、デジタル放送のみを受信できるDVDレコーダに関する私的録画補償金。メーカーが消費者から徴収した補償金の支払いを受け、権利者に分配する団体である私的録画補償金管理協会(SARVH)は10日、補償金の支払いを求めて東京地方裁判所に提訴した。

東芝ではこれに対し、11日に同社の見解を発表した。同見解ではまず、従来のアナログ放送においては、「著作権保護技術が施されておらず、無制限にコピーが可能」(同社)なことから、アナログチューナーを搭載するDVDレコーダーについては、補償金の対象にすることで関係者間の合意がなされていたと説明。

だが、「現在のデジタル放送においては著作権保護技術(ダビング10)が施されてコピーが制限されているため、デジタル放送の記録に特化したアナログチューナーを搭載していないDVDレコーダーが補償金の対象か否かについては、消費者、権利者、製造業者など関係者の合意にいたらず、結論が得られていない」とし、アナログチューナー非搭載のDVDレコーダへの補償金課金は、関係者の合意が得られていないとの認識を示している。

同社ではこうした認識にもとづき、同社が販売しているアナログチューナー非搭載DVDレコーダー5機種については、発売当初から現在にいたるまで、購入者から補償金を徴収していない。5機種は、2009年2月発売の「RD-E303」「RD-G503K」「RD-G503W」、2009年8月発売の「RD-E1004K」「RD-E304K」となっている。

同社は、これらの機器において補償金を徴収していないことについて、「補償対象か否かが明確でない状況で補償金の徴収を行ない、その後、当該機器が補償金徴収の対象外とされた場合は、商品の購入者に対する補償金の返還が事実上不可能であることから、現状の下では、当該商品の購入者から補償金を徴収できないと考える」と、その理由を述べている。

今後については、「解決に向けた議論に真摯に取り組んでいく」とし、「今後、経済産業省と文化庁が、消費者、権利者、製造業者など関係者の合意のもと、必要な措置を適切に講じることを期待する」と述べ、関係省庁の主導による関係者間の調整が必要との見解を示している。

また、アナログチューナー非搭載DVDレコーダーが補償金の対象であると明確化された場合、それ以前に当該商品を購入した消費者から過去にさかのぼって補償金を徴収するのかについては、「それ以前に当社の当該商品を購入した人から過去にさかのぼって補償金をいただくことはない」としている。