車運転中の携帯電話は危険――ごく当たり前に思える事象だが、こうした調査をまとめた報告書が世間に与える影響を考慮し、政府機関が長年にわたって報告書を秘匿していたことが問題になっている。同件を報じたのは米New York Timesの7月21日(現地時間)付けの記事で、研究者らがまとめた事故における携帯電話の影響をまとめた調査報告書を、高速道路の安全走行を管轄する米National Highway Traffic Safety Administration (NHTSA)が2003年から公にすることなく隠蔽し続けてきたという。
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New York Timesが報告書を公開 |
報告書は266ページに及ぶ膨大なもので、Center for Auto SafetyとPublic Citizenの2つの市民団体が入手したコピーをNew York Timesが自身のサイト上に掲載している。ここには2000年から2002年の間に携帯電話を使用するドライバーの割合が4%から50%に急増していること、警察が把握している自動車事故のうちの4分の1が不注意によるもの、しかもそうした不注意の原因として携帯電話の利用が顕在化してきているといったものだ。また現在では、運転中のSMS送受信(Texting)や携帯電話操作を禁止し、ハンズフリー状態での通話のみ認めるという法律を制定した州や市が登場してきている。だがこの事故調査報告書によれば、事故の誘発原因は携帯の直接操作による手のふさがりではなく、むしろ通話に意識をとられるなど、不注意が大きな位置を占めるものとなっている。
こうした事実を秘匿してきた理由について、当時NHTSAの長官だったJeffrey Runge氏が、ロビー活動を警戒する米議会関係者を怒らせないよう周囲から圧力をかけられた結果、報告書の隠蔽を決定したと同紙はRunge氏への取材で報告している。
