年末、自動車メーカーが実施した派遣社員の大量解雇は日本中に衝撃を与えたが、日本IBMによる1,000人規模の人員削減など、国内のIT業界にも景気後退の影響は広がっている。そうなると、当然、システム開発の現場にも「コスト削減」「新規案件の凍結」といった課題が降りかかってくるだろう。そうしたなか、IT投資を有効活用する一手として、運用保守の重要性が高まっている。
こうした時流を踏まえ、1月29日に販売開始の『システム開発ジャーナル Vol.8』では、特集1で「運用・保守」を取り上げている。3つのパートとコラムによる構成となっており、タイトルと執筆陣は以下のとおり。
- パート1「運用・保守と保守開発のいま」 日立システムアンドサービス・吉田行男 著
- パート2「運用・保守を定量的に「見える化」する方法」 富士通・富士通研究所 著
- パート3「保守開発を攻略する7つのポイント」 ビーブレイクシステムズ・西尾亮太 著
- コラム 「保守開発エンジニアのスキルアップについて」 日立システムアンドサービス・吉田行男 著
新規開発がゼロからシステムを作っていく作業であるのに対し、保守開発は既存のシステムが廃棄されるまできちんと使い続けられるよう改修していく作業である。時には、仕様書がどこにあるのかさえわからない"ブラックボックス化"したシステムを改修しなければならず、保守開発は新規開発にはない難しさを抱えている。そこで、ここでは、パート3で解説している「保守開発」の攻略ポイントを2点紹介しよう。
ノウハウの蓄積と資料化で「次」に備える
西尾氏によると、「保守開発の要は納品・稼働後の作業にある」という。というのも、保守開発は連続するプロセスであるため、ある改修が済んで稼働が始まったとしてもそれで終わりではなく、次の保守作業が控えているからだ。そこで、今回行った保守開発の記録を残しておけば、ノウハウとして次の作業に活用できるというわけである。具体的には、以下のような点を記録しておけばよいとのこと。
- 改修内容と見積り実績の対比
- スケジュールの遅延の有無や原因の分析
- 今回の改修で発覚したソースコードの問題点、ドキュメントの散在箇所
- 改修想定時間と実績時間との対比
ノウハウと言ってしまうと、よいことばかり書かなければいけないと思われてしまうかもしれない。しかし、西尾氏は、保守開発担当者が「考えた」「判断した」「行った」ことのすべてがノウハウであり、このような"足跡"が資産となって後々の保守開発に役立っていくのだという。
プロセスや方法論の標準化で専任体制を解除する
保守開発では、担当者を固定しているケースが多く見られるが、西尾氏によると、そのような体制を敷くのはあまりよくないという。その理由として、「担当者のモチベーションの維持が難しく、長く続く改修作業に担当者が疲弊していくこと」と「担当者の不在などにより障害対応や保守開発のアジリティが低下すること」が挙げられている。
この問題の解決策として、西尾氏が勧めているのが「保守開発のプロセスや方法論を標準化すること」だ。担当者が変わらないが故に、様々な方法論や手順を確立していることが予想されるため、保守開発プロセスや方法論を標準化することはそれほど難しい作業ではないはずだという。
本特集では、さらに5つの保守開発攻略のポイントを紹介しているほか、保守開発に求められるスキル、作業の流れなども押さえているので、興味がある方はぜひ一読いただきたい。