国際科学技術財団は、2009年(第25回)日本国際賞の受賞者として、ニューハンプシャ―大学システム政策学の名誉教授でインタラクティブラーニング研究所代表であるデニス・メドウズ博士と、ミシガン大学医学部放射線医学教授のデビット・クール博士の2氏を決定したと発表した。

日本国際賞は科学技術において、独創的で飛躍的な成果を挙げ、科学技術の進歩に寄与し、人類の平和と繁栄に貢献したと認められた人物に与えられる賞で、1983年に日本政府が創設を了解、1985年から毎年授賞が行われてきた。

科学技術の全分野を対象とするが、毎年2つの分野を授賞大賞分野として指定。同賞の受賞者は、原則各分野1件1人に対して授与され、受賞者には賞状とメダル、そして賞金5,000万円が送られる。

授賞式典は4月に東京で天皇皇后両陛下のほか、内閣総理大臣、衆議院/参議院議長、最高裁判所長官などを交えて行われる。

メドウズ氏の授賞業績は「"成長の限界"報告を基盤とする持続可能な社会形成への貢献」というもの。同氏は1972年発表のローマクラブへの報告「成長の限界」のプロジェクトリーダーを務め、「ワールド3」と呼ばれるシステムシミュレーションモデルを用い、資源・環境・土地などの地球の物理的容量の制約にもとづく要因が人口と経済の拡大との相克により放置すれば社会が危機的状況にいたること、これを抑制するために出来るだけ早く人口と物資消費のゼロ成長を実現することを提唱してきた。同報告は1980年に発表された米国大統領諮問委員会報告「Global 2000」や日本の環境庁長官直属の地球的規模の環境問題に関する懇談会からの提案により設立された国連の環境と開発に関する世界委員会(ブルントラント委員会)などへの影響を与え、現在まで一貫して持続可能な社会の形成への努力をモデル分析を通じて要請してきた。こうした業績により、「自然と共生する持続可能な技術社会形成」への貢献が認められ受賞に至った。

一方の、クール氏の授賞業績は、「核医学における断層イメージングに対する貢献」というもの。同氏は1950年代後半に放射性同位元素の体内分布を断層撮影する開発実験を行った人物で、単光子放出断層撮影装置「SPECT(single photon emission computed tomography)」シリーズのマークIIからマークIVの開発を手がけるとともに、数値計算による断層画像再構成の医学応用を推進し、生体における体軸横断断層撮影を世界で初めて可能にした。

また、イメージングの画質を向上させ、脳腫瘍や脳卒中などにおける断層画像の臨床的有効性を立証した。現在、PET/SPECTは臨床において不可欠なものとなっており、さらにX線CTやMRIとの画像融合によって統合的画像情報としての有用性が増している。こうした業績により、自然と共生する持続可能な技術社会形成」への貢献が認められ受賞に至った。

なお、2010年の授賞対象分野は「工業生産・生産技術」(領域I:数学系、物理学系、化学系、工学系)ならびに「生物生産・生命環境」(領域II:生物学系、農学系、生命環境)の2分野となっている。