マイクロソフト ビジネス&マーケティング担当 執行役常務 佐分利ユージン氏

マイクロソフトは26日、Lotus Notes/Dominoからマイクロソフトプラットフォームへ移行するための戦略や具体的な施策について紹介する記者説明会を開催した。発表を担当した同社ビジネス&マーケティング担当 執行役常務の佐分利ユージン氏は、まず生産性向上に向けて日本企業が抱えている課題として「部門の壁」を越えられていないことを指摘。企業の情報活用が部門主導で行われる現状では全社レベルでのガバナンスが困難であり、早急な対策が必要だと語った。

一方で情報インフラに対して社員がどのような要素を求めているかという点については、必要な情報の検索や他の社員に対する連絡の取り易さなどに対する要望が強いと指摘する。しかし一般的なグループウェアにはこれらの要望に応えるためのツールがすでに含まれている。問題となるのは、それが十分に活用されていない点である。マイクロソフトではこの点に注目し、検索や文書管理、コミュニケーションにおける無駄や遅延を排除するための環境整備に力を注いできたという。

具体的には、Microsoft Exchange Server 2007およびMicrosoft Office SharePoint Server 2007を中心としたビジネス・プロダクティビティ・インフラの整備が挙げられる。同社ではビジネスに必要となる中心的な機能をユニファイド・コミュニケーション、コラボレーション、エンタープライズ・サーチ、エンタープライズ・コンテンツ管理、ビジネスインテリジェンスの5つに分け、それらを包括的にサポートする情報インフラの提供を行っている。ユージン氏は、Lotus Notes/Dominoからマイクロソフトプラットフォームに移行することで、これらそれぞれの機能において総合的に価値をステップアップさせることができると強調する。

マイクロソフトが提供するビジネス・プロダクティビティ・インフラ

同氏は、最新のLotus Notes/Dominoに対してマイクロソフトプラットフォームが特に優位となっている点として次の3項目を挙げている。

  • 最高のクライアント環境
  • セキュリティ・コンプライアンス対応
  • プラットフォームとしての優位性

まず第1項目として、世界ナンバー1のシェアを誇るMicrosoft Officeと連携したクライアント環境がある。現在5億人の利用者がいるというMicrosoft Officeは、最初のリリース以来22年間のフィードバックの集大成となっている。「Notesに搭載されたOpenOfficeもUIをMicrosoft Officeに似せて作らているが、機能としては一世代前のものでしかない」とユージン氏は言う。

セキュリティ・コンプライアンスについてはSOX法などの関係から経営者層を中心に最も注目されている項目のひとつと言える。この点についてマイクロソフトでは、Active Directoryに統合されたID管理や認証基盤、ポリシーベースのIRM(Information Rights Management)、メッセージアーカイビングなど、プラットフォーム全般に渡る包括的なサポートを行っている。セキュリティ・コンプライアンスについては「ユーザが特別に意識しなくても適切に管理できる仕組みが重要」(ユージン氏)であり、マイクロソフトプラットフォームによりそれが実現できるという。

第3にOSというプラットフォームそのものを提供している強みが挙げられる。これによって、拡張性があり、かつ管理性の高いインフラを構築することができる。例えばActive Directoryによるユーザ管理の統合や、.NETによる一貫した開発環境などである。

続いてユージン氏は、過去1年間のLotus Notes/Dominoからマイクロソフトプラットフォームへの移行実績を紹介した。同氏によれば、1年間で130社、30万ユーザがマイクロソフトプラットフォームに移行したという。また2007 Office Systemの中核であるSharePoint Serverに対して、2006年を2倍のペースで上回る引き合いがあることにも触れ、同製品の評価の高さを強調している。

その他、マイクロソフトではNotes/Domino環境から最新のマイクロソフト環境に移行するための支援ツール「Mictosoft Transporter Suite for Lotus Domino」および「Microsoft SharePoint 2007 Converter for Lotus Notes」の提供も行っている。これらのツールによって、Notes/Domino上のアドレス帳やメッセージング、様々なアプリケーションを、マイクロソフトプラットフォームの各製品に容易に移行できるようになるという。

日本ビジネスコンピュータ 先進技術.NETセンター センター長 内田裕之氏

移行支援については、同社自身だけでなくパートナー企業においても積極的に行われている。そのようなパートナー企業のひとつである日本ビジネスコンピュータ(jBCC)において、先進技術.NETセンター センター長 内田裕之氏は、Notes/Dominoのユーザ企業においても、Microsoft ExchangeやSharePointに対するニーズが高いと指摘する。jBCCはNotesの導入/運用に対するコンサルティングや移行支援などに対して10年以上の実績を持つ企業だが、今回SharePointビジネスへの新規参入を表明している。jBCCでは今後、Notesビジネスで培った強みにSharePointを加えることによる相乗効果を、同社ソリューションの新しいバリューとして加えていきたいとしている。