- 貸金業務取扱主任者試験の難易度はどれくらい?
- 合格率を知りたい
- 貸金業務取扱主任者の仕事内容って?
貸金業務取扱主任者の資格は、貸金業に従事するうえで必須の国家資格です。
貸金業務取扱主任者の受験を検討する際、試験の難易度や合格率が気になるのではないでしょうか。
実際、試験勉強をするうえで過去の試験状況を把握することは非常に重要です。
この記事では、貸金業務取扱主任者の合格率や試験難易度、仕事内容などを紹介しています。
また当サイト内では、貸金業務取扱主任者を通信講座で学びたい方向けの内容も掲載しているので、貸金業務取扱主任者の取得に興味がある方はぜひこちらもご覧ください。
→貸金業務取扱主任者におすすめの通信講座5選と失敗しない選び方の記事はこちら
貸金業務取扱主任者はどんな資格?
貸金業務取扱主任者は、2003年8月の貸金業の規制などに関する法律改正に基づき創設されました。
その後、2006年12月改正の貸金業法3条が2009年6月に施行となり、国家資格としての試験が開始されます。
猶予期間を経て、2010年6月18日施行の貸金業法4条にて設置義務が発生したことで、現在では試験合格後の登録を完了した有資格者を50人に1人以上配置しなければいけません。
近年では、貸金業のコンプライアンス強化のため、入社から間もないうちに試験を受けるケースが増えており、業界内でのキャリアアップには欠かせない国家資格となっています。
貸金業務取扱主任者の仕事内容
貸金業務取扱主任者を取得した場合、具体的に可能になる業務は下記のとおりです。
- 貸金業に関する法令遵守の指導をする
- 貸金業の業務が適正か確認し助言・指導をする
つまり、営業所内で利用客に対する金利が不当な額になっていないか、請求方法が適切かなど、貸金業務にまつわる法令遵守を管理・監督する役目です。
貸金業務取扱主任者は、貸金業務に従事する者のうち50人に1人以上の配置が義務付けられており、一見すると貸金業ではない保険会社やコンサルティング会社、ファイナンシャルプランナー事務所などでも、貸金業法に抵触する場合は設置義務が発生します。
キャリアアップのための資格を探している方は、今の会社で貸金業務取扱主任者に対する需要を確認してみましょう。
貸金業務取扱主任者試験の概要
貸金業務取扱主任者の試験は、日本貸金業協会が発表する「資格試験実施要領」に沿って行われ、例年11月の中旬から下旬に実施されます。
受験資格に制限はなく、50点満点の4択マークシート形式です。
試験概要は下記の通りで、各設問の出題問題数は毎年変わります。
しかし、大きな変動はないため、近年の傾向を確認しましょう。
試験概要 | 出題数 | 内容 |
法及び関係法令に関すること | 22~28問 | 貸金業法・同施行令・同施行規則・出資の受け入れ、預かり金および金利等の取締まりに関する法律・利息制限法・貸金業者向け総合的な監督指針・事務ガイドライン・貸金業の業務運営に関する自主規制基本規則・紛争解決等業務に関する規則・同細則・貸付自粛対応に関する規則 |
貸付けおよび貸付けに付随する取引に 関する法令および実務に関すること |
14~18問 | 民事法・民事手続き法・倒産法・刑事法 |
資金需要者などの保護に関すること | 4~6問 | 個人情報保護法・消費者保護法・経済法・賃金法とその関係法令 |
財務および会計に関すること | 2~4問 | 家計診断(家計収支の考え方・個人の所得と関係書類)・財務会計(企業会計の考え方・財務諸表) |
上記の通り、「法及び関係法令に関すること」のウエイトが非常に高くなっています。
出題数の多い設問を重点的に勉強することで、学習の効率化を図りましょう。
貸金業務取扱主任者の難易度は?
貸金業務取扱主任者の難易度は、ほかの国家資格と比べると標準~やや低めです。
資格の適用範囲から、弁護士などのように「資格がないと働けない」ものではないため、実務経験を積んで、キャリアアップやコンプライアンス意識向上のために資格取得を考える方が多い傾向にあります。
そのため、試験範囲は広いものの、実際に業務として民法や貸付けなどの貸金業法に触れたことがある方にとっては、比較的理解しやすい内容です。
ただし、貸金業務について初学者の場合は注意が必要で、法律特有の言い回しや、貸金業特有の用語などは、初めて目にする方には理解が難しいため、挫けてしまうことも十分考えられます。
初めて学ぶ場合は、近くに質問できる人を確保するか、通信教育などの活用を検討しましょう。
貸金業務取扱主任者と宅地建物取引士を比較
しばしば貸金業務取扱主任者と比較されるのが宅地建物取引士です。
貸金業務取扱主任者と同じく、設置義務があり、両資格とも不動産と深くつながっているため比較対象となりやすい存在といえます。
貸金業務取扱主任者と宅地建物取引士の違いを、業務内容や難易度の観点から比べてみましょう。
貸金業務取扱主任者と宅地建物取引士の違い
設置義務の範囲 | 業務内容 | |
貸金業務取扱主任者 |
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宅地建物取引士 |
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宅地建物取引士は「事務所従事者数の5分の1以上」の設置義務があり、お客様に対して説明責任を負います。
貸金業務取扱主任者は事務所内の監督のみなのに対して、宅地建物取引士はお客様対応も必要です。
貸金業務取扱主任者と宅地建物取引士の難易度比較
年度 | 貸金業務取扱主任者 | 宅地建物取引士 | ||
合格率 | 合格ライン(全50問) | 合格率 | 合格ライン(全50問) | |
2023年度 | 31.00% | 31問 | 17.20% | 36問 |
2022年度 | 26.60% | 28問 | 17.00% | 36問 |
2021年度 | 32.20% | 31問 | 17.90% | 34問 |
2020年度 | 33.90% | 33問 | 17.60% | 38問 |
2019年度 | 30.00% | 29問 | 17.00% | 35問 |
2018年度 | 31.50% | 32問 | 15.60% | 37問 |
2017年度 | 32.50% | 34問 | 15.60% | 35問 |
直近6年分の合格率および合格ラインを比較して、貸金業務取扱主任者と宅地建物取引士の難易度を考察してみましょう。
貸金業務取扱主任者と宅地建物取引士ともに、合格には50問の設問中30問前後の正解数を求められます。
しかし、合格率は貸金業務取扱主任者が30%前後なのに対して、宅地建物取引士は15%前後となっており、約半分の割合です。
単純に合格率を比較した場合、宅地建物取引士の方が高難易度と考えられます。
通信講座の標準学習期間(修了までにかかる標準的な学習期間)を指標に比較してみても、宅地建物取引士講座は概ね3~6か月程度、貸金業務取扱主任者試験は概ね1~3か月程度の学習を設けている講座が多い印象です。
直接的な難易度ではありませんが、学習範囲の多さや必要な知識量は宅地建物取引士の方が多く、比較的難しいと考えられます。
しばしば難易度や業務内容を比較される貸金業務取扱主任者と宅地建物取引士ですが、貸金業務取扱主任者は比較的合格までのハードルが低い資格といえるでしょう。
貸金業務取扱主任者の合格率・合格ライン推移
実施回 | 実施年 | 受験者数 | 合格率 | 合格ライン |
第18回 | 2023年 | 9,448人 | 31.00% | 31問 |
第17回 | 2022年 | 9,950人 | 26.60% | 28問 |
第16回 | 2021年 | 10,491人 | 32.20% | 31問 |
第15回 | 2020年 | 10,533人 | 33.90% | 33問 |
第14回 | 2019年 | 10,003人 | 30.00% | 29問 |
第13回 | 2018年 | 9,958人 | 31.50% | 32問 |
第12回 | 2017年 | 10,214人 | 32.50% | 34問 |
第11回 | 2016年 | 10,139人 | 30.50% | 30問 |
第10回 | 2015年 | 10,186人 | 31.20% | 31問 |
第9回 | 2014年 | 10,169人 | 24.50% | 30問 |
第8回 | 2013年 | 9,571人 | 28.10% | 30問 |
第7回 | 2012年 | 10,088人 | 25.80% | 29問 |
第6回 | 2011年 | 10,966人 | 21.80% | 27問 |
第5回 | 2010年 | 12,081人 | 32.90% | 30問 |
貸金業務取扱主任者試験の合格ラインは明確に定まっておらず毎年変化します。
過去12年分の合格ライン推移をみると、27~34問です。
合格発表時に合格ラインが明かされるため、断言できませんが、35問以上正解を狙うと合格の可能性が高まります。
過去問で勉強するにあたっては、合格ラインの確認は非常に重要です。
また合格率は、2009年の第1回と2010年以降で大きく異なります。
設置義務が施行される2009年の第1回は70%ほどありました。
受験者年齢層の推移を確認すると、第1回試験は40代以上の受験者数が多く、法令順守のため、猶予期間中に各社の年長者の受験が先立って受験していたためと考えられます。
第16回(2021年) | 第1回(2009年) | |
合格率 | 32.2% | 70.1% |
20歳代以下 | 29.9% | 9.3% |
30歳代 | 27.2% | 36.0% |
40歳代 | 23.7% | 34.3% |
50歳代 | 16.7% | 17.8% |
60歳代以上 | 2.5% | 2.5% |
2010年以降は30%前後に落ち着いており、受験者の年齢層も下がっていることから、試験難易度の上昇ではなく、経験値の差で合格率が大幅に下がったと考えられます。
貸金業務取扱主任者は独学でも合格できる?
貸金業務取扱主任者は、独学でも十分合格可能です。
ただし、法律関係の言い回しに不慣れな方は質問できる環境がないと挫折しやすいため注意しましょう。
貸金業務取扱主任者おすすめの勉強方法
おすすめの学習方法は、既に持っている知識量によって異なるため、業務経験のある場合と、初学者の場合に分けてご紹介します。
貸金業務の経験者
すでに貸金業務に携わっており、日常的に貸金業や民法に触れている方は次の勉強法がおすすめです。
- テキストで知識の抜け漏れ確認
- 過去問→不正解部分をテキストで確認
既に一定の知識がある場合は、テキストをざっと確認し、知らない知識を重点的に補いましょう。
その後、過去問を中心に問題演習を行い、知識の抜け漏れを確実に減らす方法がおすすめです。
さらに確実な合格を狙いたい場合は、スタディングなどの通信講座の活用も検討しましょう。
スタディングは隙間時間を活用した学習に特化しており、働きながらでも知識の確認をしやすい工夫が詰まっています。
全てデジタル教材にすることで、コストを削減し比較的安価に受講できるのも大きな特徴です。
\隙間時間を活用して効率的に学習/
貸金業務取扱主任者初学者の方におすすめの勉強方法
普段、法律関係になじみのない方は、サポートの充実した通信講座や通学式の講座で、一つひとつ確認しながら学習するのをおすすめします。
法律特有の言い回しは、独学では理解に時間がかかり、モチベーションの維持を難しく感じる方が非常に多い傾向です。
気軽に質問できる相手が周りにいる場合は、サポートをお願いするのも有効な手段でしょう。
資格講座に興味のある方に、サポートや学習内容のバランスが良いTACの講座をおすすめします。
TACでは通学・ビデオ(通学)・DVD・webの4パターンから学習スタイルを選べます。
また、テキストを毎年改定しており、受講生の意見を組み込んだ初心者でも学びやすいテキストが魅力です。
初めて学ぶ場合、自分に合うテキストを探すだけでも苦労するため、通信講座などを活用することで学習開始への不安も取り除けます。
サポート体制も充実しており、無制限の質疑応答が可能なほか、学習形態にかかわらず、校舎の自習室が利用可能です。
貸金業務取扱主任者の資格をより確実に取得したい初学者の方は、通信講座などの活用も積極的に検討しましょう。
\初心者でも学びやすいテキスト/
まとめ
今回は貸金業務取扱主任者の難易度や合格率・勉強方法を紹介しました。
貸金業におけるコンプライアンス意識向上のため、貸金業務取扱主任者の需要は高まっています。
- 合格率は30%前後
- 合格ラインは50問中30問前後
- 国家資格の中では比較的取得しやすい
- 業務経験者は独学でも学びやすいが、初学者は注意が必要
年度によって合格ラインが異なるため、過去問の合格ラインに惑わされず、確実に解答できる問題を増やしましょう。
幅広い問題に対して「苦手分野」を減らすことで、合格を狙えます。
今回の記事の内容を参考に、試験対策を徹底し貸金業務取扱主任者合格を目指しましょう。
また当サイト内では、貸金業務取扱主任者を通信講座で学びたい方向けの内容も掲載しているので、貸金業務取扱主任者の取得に興味がある方はぜひこちらもご覧ください。
→貸金業務取扱主任者におすすめの通信講座5選と失敗しない選び方の記事はこちら
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