簿記資格は、経理や会計にかかわる仕事をされている方のみならず、就職・転職活動に活かせる資格として、学生や第二新卒者など多くの方から人気を集めています。
- 「簿記の資格を取得したいけど、合格までどのくらい勉強時間が必要?」
- 「どうやって学習を進めていけば、合格にたどり着ける?」
簿記資格を取得したいと考え、情報を収集し始めた方のなかには、このような疑問を抱く方もいるかもしれません。
この記事では、簿記の合格に必要な勉強時間と学習スケジュール、勉強時間を確保するための方法についてご紹介します。
検定級ごとにまとめているため、ご自身の取得したい級の目安の勉強時間、目安の学習スケジュールを参考に、勉強のイメージを膨らませましょう。
また当サイトには、簿記の通信講座についてまとめている記事もあるので、ぜひこちらも参照ください。
→簿記におすすめのオンライン通信講座9選と失敗しない選び方の記事はこちら
簿記とは~どんな資格?~
簿記とは「企業が行うお金やモノのやり取り(取引)を記録する技術」のことで、別の言い方をすると、企業における家計簿やお小遣い帳のようなものです。
家計簿やお小遣い帳は、シンプルに入出金だけを記帳する単式簿記に分類されますが、企業の簿記は複式簿記といって、損益計算と収支計算を同時に行えるという特徴を持ちます。
これにより、現金の収支のみを記帳する単式簿記ではわからない、取引の結果生じた企業の財政状態が把握できる、というのが複式簿記=簿記のしくみです。
簿記を勉強すると、会社の財政状態を表す財務諸表が読めるようになります。
財務諸表が読めるようになると、会社の経営判断に活用したり、コスト管理や収益率に対する意識付けができたりと、担当部署や担当業務を問わず、あらゆるビジネスシーンで役立ちます。
そのため、全てのビジネスマンにとって、メリットこそあれ、持っていて損はない資格です。
日本には複数の団体が主催する簿記検定試験がありますが、ここではもっとも受験者数が多く、ポピュラーな「日商簿記検定」についての内容をお届けします。
簿記の合格に必要とされる勉強時間
日商簿記検定試験に合格するために必要とされる時間は、一般的にどのくらいといわれているのでしょうか。
ここからは、検定級ごとに必要とされる、標準的な勉強時間をご紹介します。
簿記3級の合格に必要なのは100~150時間
簿記3級に合格するために必要な勉強時間は、一般的におおよそ100~150時間といわれています。
これは、初めて簿記を勉強する方が、独学や通信講座を利用した際の平均値を示しており、毎日2時間勉強できると仮定した場合、2ヶ月ほどで達成できる時間です。
ただし、もともと仕事で簿記を扱ったり、学校で学んだことがあったりと予備知識がある方であれば、必要な学習時間はもっと短くなります。
すでに備わっている簿記の知識レベルによって、必要な勉強時間は異なるため、自分は簿記の勉強がはじめてなのか、それとも知識があるのかを念頭に置いたうえで、おおよその必要勉強時間を見積もっておくといいでしょう。
- 3級の学習には、約100~150時間必要。
- 毎日2時間勉強する場合、2ヶ月ほどかかる。
- 仕事や学校で学んだ経験があれば、もっと短期間で合格することも可能。
簿記2級の合格に必要なのは300~500時間
簿記2級の合格に必要な勉強時間は、一般的にだいたい300~500時間といわれています。
すでに3級の知識を持っている場合と、2級から簿記の学習をスタートさせる場合とでは、習得にかかる時間が異なるため、自分がどの程度簿記に理解があるのかをあらかじめ認識したうえで、必要な勉強時間の把握に努めてください。
簿記をはじめて学習する方が、いきなり2級の勉強からスタートさせるのであれば、400~500時間の勉強時間を目安に予定を立てましょう。
これは、週に15~20時間の勉強時間を確保できる方で、おおよそ5~8ヶ月で到達できる時間です。
かたや、3級の学習経験者であれば、250~350時間の勉強時間が必要といわれており、週に15~20時間の勉強を、3~6ヶ月ほど継続すると、合格レベルに達するとされています。
- 2級の学習には、約300~500時間必要。
- 簿記学習がはじめての場合、週に15~20時間勉強できる方で、5~8ヶ月ほどかかる。
- 学習経験者であれば、週15~20時間の勉強で、3~6ヶ月ほどかかる。
簿記1級の合格に必要なのは500~1000時間
簿記1級に合格するために必要な勉強時間は、おおむね500~1000時間といわれています。
1級は、社会保険労務士や中小企業診断士などの士業資格と肩を並べるほどの難関資格です。
これまでに培ってきたベースとなる学習の基礎力が、学習の進捗に大きく影響を及ぼすため、小手先の理解力や暗記力では対応できません。
したがって、2級・3級の学習で積み上げてきた習熟度の差や、新しい単元の理解度・応用度の差などが色濃く反映されるため、必要となる勉強時間は個々によって大きく異なります。
資格スクールを受講した場合、1級の合格までに6ヶ月~1年半前後の期間が必要です。
独学や通信講座などの勉強スタイルを選択するのであれば、学習期間はさらにプラスされることも心に留めておきましょう。
なお、日商簿記検定試験には受験資格がなく、どなたでも1級から試験にチャレンジすることはできますが、実際には2級の受験を飛ばして、1級から受験する方はほとんどいません。
1級の取得を目指している方も、大半は2級からステップアップで学習を進めていきます。
簿記1級は、合格率が低い難易度の高い試験であるため、着実に段階を踏んで行ける受験方法を選択しましょう。
- 1級の学習には、約500~1000時間必要。
- 資格スクールでは、6ヶ月~1年半前後の期間を設けているケースが多い。
そのため、独学や通信講座では+α期間が必要となる可能性も考えておこう。
勉強時間に沿った学習スケジュールを組もう
簿記は、受験する検定級によって、必要とされる勉強時間が異なります。
ここからは、試験勉強を進めるにあたって、どの時期にどのような学習をすればいいのか、検定級ごとのおおまかな学習スケジュールをご紹介します。
簿記3級のおすすめ学習スケジュール
簿記3級に合格するまでにかかる100~150時間を、1日または1週間における実現可能な勉強時間で振り分けます。
たとえば、平日は毎日1時間、土日は5時間ずつ勉強すると仮定して、1週間で15時間の勉強時間が確保できる場合、合格レベルまでは、約1ヶ月半~2ヶ月半の期間で到達できるでしょう。
勉強に大切なインプットとアウトプットの理想的な比率は、3:7といわれています。
覚える時間を3割、演習する時間を7割費やす学習方法が、一番結果につながる比率であるということが、いまや世界の通説です。
テキストを読みこむインプット学習を30分行ったら、問題集を解くアウトプット学習を70分行うといった、アウトプットに比重を置くイメージで、試験勉強に取り組みましょう。
では、具体的な簿記3級におけるインプット・アウトプットの割合を示した、おすすめ学習スケジュールをご紹介します。
簿記初学者(100~150時間) | ||
インプット学習 |
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テキストを読み、講義を受講するなどして、知識を身につける |
アウトプット学習 |
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問題を解く (最後の1週間~2週間は、模擬試験や予想問題などの実践形式の問題を解く) |
演習問題を解くことに慣れてきた、アウトプット学習の終盤4分の1の期間では、より実践的な問題にチャレンジすることを意識して、予想問題や模擬試験に取り組みましょう。
そして、実現可能な勉強時間を試験日からも逆算してください。
初めての簿記の学習にもかかわらず、試験日までに100時間を確保できないようなスケジュールであれば、受験をその次の試験に変更するといいでしょう。
簿記3級は、6月・11月・2月と年に3回の試験日があるため、約4ヶ月ごとに受験のチャンスがめぐってきます。
なお、短期集中型で3級取得を目指す場合、毎日8時間、トータル2~3週間で試験をパスするという受験スタイルも可能です。。
長期休み中の学生など、時間に余裕がある方にとっては最短合格を狙える、おすすめの簿記3級の取得方法かもしれません。
一時的にでもまとまった時間をキープできそうな方は、ぜひ挑戦してみてください。
簿記2級のおすすめ学習スケジュール
簿記2級の合格に必要な時間は、だいたい300~500時間であるため、たとえば平日は毎日2時間、週末土日は5時間ずつ勉強し、週で20時間の勉強時間が確保できると仮定した場合、おおよそ3ヶ月半~6ヶ月で合格水準に到達できると推測されます。
働きながら簿記2級の取得を目指す社会人であれば、このくらいが標準的な勉強期間といえるでしょう。
ここで、具体的な簿記2級におけるインプット・アウトプットの割合を示した、おすすめ学習スケジュールをご紹介します。
学習経験者と初学者で必要な勉強時間が異なりますが、ここでは、週に20時間勉強できる方を想定してプランニングしてみます。
3級学習経験者(250~350時間) |
簿記初学者(400~500時間) | |||
インプット学習 |
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テキストを読み、講義を視聴して、知識・理解を深める |
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テキストを読み、講義を視聴するなどして、知識を養い、理解を深める |
アウトプット学習 |
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問題を解く (最後の2週間~3週間は、模擬試験や予想問題などの実践形式の問題を解く) |
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問題を解く (最後の1ヶ月間は、模擬試験や予想問題などの実践形式の問題を解く) |
アウトプット学習に費やせる時間が、数か月単位で確保できるようなスケジュールになりますが、この間ももちろん、アウトプットしたらしっ放しではいけません。
問題を演習している際につまずいた箇所は、いったんテキストなどに立ち戻り、正しい方法を確認して、理解することを心がけましょう。
アウトプットしながらも、定期的にインプットを行うことで、記憶の定着率が上がります。
インプットとアウトプットの反復学習を積極的に行いましょう。
簿記1級のおすすめ学習スケジュール
簿記1級の合格までに必要な勉強時間である500~1000時間を、週に20時間の勉強時間を確保できるケースと仮定した場合、おおよそ6ヶ月~1年ほどで合格レベルまで達せられると推測できます。
しかし、この必要時間は2級・3級で培ってきたベースとなる基本の習熟度により大きく左右されるため、人によっては、1000時間を超える勉強時間を要することも十分考えられるでしょう。
また、完全な独学を選択した場合も、通算でかかる勉強時間は、通信講座や資格スクールを上回るかもしれません。
ではここで、具体的な簿記1級におけるインプット・アウトプットの割合を示した、おすすめ学習スケジュールをご紹介します。
少し画一的なスケジューリングにはなりますが、おおまかなイメージを抱けるよう掲載しているため、ひとつのおすすめ学習スケジュールとしてご覧ください。
2・3級学習経験者(500~1000時間) |
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インプット学習 |
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テキストを読み、講義を視聴するなどして、知識を養い、理解を深める |
アウトプット学習 |
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問題を解く (各科目最後の1週間~2週間は、模擬試験や予想問題などの実践形式の問題を解く) |
簿記1級は「商業簿記」「会計学」「工業簿記」「原価計算」と4科目あり、学習範囲が広いため、効率よく学習を進めていかなければ、以前勉強した内容を忘れてしまうといったケースにたびたび出くわします。
そのような事態に陥ることがないよう、記憶の定着率を上げるために、インプットしながらのアウトプットを精力的に行っていきましょう。
こなした問題の演習量は、そのまま学習の習熟度に比例することが多いため、何度も問題を解いて、練習量を稼ぎます。
また、アウトプットに力を入れることで、出題の傾向に慣れていくことも大事です。
出題頻度が低い項目はある程度のところまで学習が進んだら切り上げ、より出題頻度の高い重要項目に時間を割いて、勉強するようにしましょう。
そして、ここでも、問題を解いた際にわからない部分が出てきたり、気になることがあったりすれば、テキストに立ち戻って一回一回確認をします。
問題集とテキストの行ったり来たりを頻繁に行い「わかったつもり」をなくす勉強を実践しましょう。
勉強時間を確保するための方法
日々、忙しく過ごしている社会人や学生にとって「簿記のための勉強時間がない」のは、勉強にまつわるよくある悩みです。
そこでここでは、忙しい方が勉強時間を確保するための方法についてお伝えします。
1日のなかで活用可能な可処分時間を把握する
あなたが1日のなかで、絶対に削ることのできない、欠かせない時間はどんな時間ですか?
睡眠時間・食事時間・就労(就学)時間・入浴や洗面、排泄にかかる時間・身支度にかかる時間……など、多少個人差はあるかもしれませんが、おおむねこんな感じになるでしょう。
1日24時間から、これら生活に必要な時間を除いた、自分で自由に使える残りの時間が可処分時間です。
まず、この可処分時間が自分の生活にどれくらいあるのかを把握することから、学習計画の立案ははじまります。
可処分時間を把握できたら、実現可能な勉強時間を割り出してみましょう。
もし、残業やバイトなどで忙しく、この可処分時間自体がほとんどないよ!という方は、この先の項目へ読み進めてください。
そして、勉強時間を確保するうえでもっとも重要なのは、睡眠や食事といった生きるうえで必要な時間を削らないことです。
とくに、睡眠時間を削って勉強時間を捻出するといったやり方はおすすめできません。
睡眠の乱れは、人間の体内にある生体リズムの乱れを引き起こし、心身の健康に悪い影響をおよぼします。
もちろん、これが勉強面にも悪影響を与えることは、容易に想像がつくでしょう。
可処分時間内で、いかに有効的に時間を活用するかといった視点で、勉強時間の確保に努めてください。
ロスタイムをなくす
可処分時間が把握できたら、自分が実際に1日をどう過ごしているのか、起床から就寝までの行動を振り返ってみましょう。
ノートなどに、行動とそれに費やした時間を書き出してみると、わかりやすくておすすめです。
そして、行動を洗い出し、個別に精査していきます。
一つひとつの行動と、それにかかった時間を明らかにすることで、「ここはムダな行動だから省く」「この時間はもっと短縮できそう」といった観点で行動が見直せるため、時間の節約につながります。
行動ひとつのムダ時間の削減は小さくても、それが3つ・4つ・5つ……と積み重なる、いわゆる「ちりつも」時間の捻出で、平日に1~2時間の勉強時間を得ることも十分可能です。
スキマ時間を活用する
通勤・通学中の電車内やランチタイム、ちょっとした待ち時間など、予定と予定の間の「スキマ時間」の活用は、まとまった勉強時間を持ちづらい忙しい方にとって、非常に有効な時間確保の方法です。
出先で生じたわずかな自由時間を有効利用できるため、可処分時間が少ないと嘆いている方にも強くおすすめします。
動画講義を視聴したり、デジタルテキストを読み返したり、演習問題を解いてみたりと、いまやスマホ1台で学習できる勉強ツールが数多く登場しているため、スキマ時間を勉強時間にそのまま変えてしまうことも可能です。
スキマ時間をぜひ活用しましょう。
スマホで学習を進める際に、月々の料金が気になる場合は、格安SIMのキャンペーンを活用して、料金を押さえる方法もあります。
簿記のおすすめ勉強法
最後に、簿記のおすすめ勉強法をご紹介します。
自分の生活スタイル・学習スタイルに合わせられる勉強方法が、継続がモノをいう資格勉強にはおすすめです。
通信講座を利用しよう
毎日を忙しく過ごす社会人や学生にとって、自分の予定やスケジュールを変更することなく続けられる勉強法が一番なのは、いうまでもありません。
そこで、おすすめしたいのが通信講座を利用した勉強法です。
場所や時間を選ばず視聴可能なオンラインによる動画講義をはじめ、音声学習や問題演習、テキスト閲覧など、スマホ1台あれば勉強できる、eラーニング機能を搭載した通信講座が、いまや主流となっています。
まとまった勉強時間の確保が難しい方でも、スマホで学習できる通信講座なら、外出先で生じた待ち時間や空き時間を、まるごとそのまま勉強時間に変えることも、夢ではありません。
また、独学では困難なモチベーションの維持や、疑問が生まれたときに講師に尋ねられる質問制度など、通信講座の利用にはほかにもメリットがたくさんあります。
簿記の勉強法に迷ったら、ぜひ通信講座の受講を検討してみてください。
簿記に必要な勉強時間:まとめ
簿記は、経理・会計のお仕事に携わる方だけでなく、すべてのビジネスパーソンが知っていて損のない、仕事に役立つ知識です。
この記事で掲載した、合格までに必要な勉強時間や学習スケジュール、勉強時間を確保する方法、選択するといい勉強法は、これから簿記の資格取得を目指す方へ向けて、試験勉強のイメージを膨らませるためのお手伝いをする、という目的で構成されています。
簿記の勉強に興味がわいた方、これからはじめてみようと思われる方は、ここでの内容を参考に、ぜひ日商簿記検定試験にチャレンジしてみてください!
また当サイトには、簿記の通信講座についてまとめている記事もあるので、ぜひこちらも合わせて参照ください。
→簿記におすすめのオンライン通信講座9選と失敗しない選び方の記事はこちら