屋外に設置される蛇口の種類と見分け方
水漏れの原因や対処方法は、蛇口の種類によって異なります。そのため、まずは自宅に設置されている蛇口の種類を把握しておかなければなりません。
屋外に設置される蛇口は「立水栓」と「散水栓」の2種類に分かれます。
見分ける方法は、蛇口の設置されている位置です。
柱に蛇口が設置されているのなら「立水栓」、蛇口が地面のボックスに埋まっているのなら「散水栓」です。
立水栓は柱を取り付けるためのスペースが必要になるため、庭の広さに余裕がある住宅に取り付けられる場合が多いです。一方で、散水栓は地面にボックスを埋めて設置するので、庭がない住宅や庭の広さに余裕がない住宅でも取り付けることが可能です。
住宅に設置されている蛇口の種類を把握したので、次項からは蛇口の種類ごとに水漏れの原因を説明していきましょう。
立水栓から水漏れする原因
立水栓が水漏れを起こしているときには、次のような原因が考えられます。
- パッキンの劣化や破損
- シールテープの劣化
- ナットの緩み
それぞれ詳しく説明します。
パッキンの劣化・破損
パッキンはゴムで作られているので、年数とともに劣化していきます。そして立水栓から水漏れを起こす原因は、ほとんどがパッキンの劣化や破損によるものです。
蛇口の内部には何種類ものパッキンが取り付けられているため、水漏れの原因になっているパッキンを調べるときには水漏れ箇所から判断しましょう。
- 蛇口の先端からの水漏れ:コマパッキン(ケレップ)
- ハンドル部分(カバーナット)からの水漏れ:三角パッキン
- パイプ根元(パイプナット)からの水漏れ:Uパッキン
パッキンの劣化や破損が原因で水漏れを起こしている場合には、新しいパッキンに交換することで水漏れを止められます。パッキンは蛇口が水漏れを起こさないように、蛇口内部の部品同士を密着させる役割をしているため、劣化や破損してしまうと水漏れを起こすのです。そしてパッキンは消耗品なので、水漏れを防ぐためには定期的な交換が必要です。
蛇口が水漏れを起こしたときには、まずはパッキンの状態を調べてみましょう。
シールテープの劣化
蛇口を取り付けた壁や柱の接続部分から水漏れしているときには、シールテープの劣化や施工不良が考えられます。
シールテープは、蛇口と柱や壁などの設置面にできる隙間を埋めるために使用するので、劣化すると隙間から水漏れを起こしてしまうのです。
パッキンと同様に、シールテープも年数とともに劣化してしまうので定期的な巻き直しが必要です。また、設置時に正しい巻き方ができていなかったときにも、水漏れを起こすことがあります。
シールテープの劣化や施工不良が原因で水漏れを起こしているときには、巻き直しをしなければなりません。シールテープの巻き方にはいくつか注意点があるので、後ほど詳しく説明します。
ナットの緩み
パイプの根元(パイプナット)からの水漏れで、パッキンを交換しても水漏れが解消できないときには、ナットが緩んでいる可能性もあります。
ナットが緩んでいる場合には、レンチを使ってナットを締め直せば水漏れが止まります。しかし、ナットを締め直すときに強く回しすぎると、破損させてしまう恐れがあるので力加減に注意してください。
ナットを締めるときには、一気に回し切ってしまうのではなく、水漏れの具合を確認しながら少しずつナットを締めていきます。パイプの根元からの水漏れは、水を出しているときしか起こらないので「ナットを少し締める→水を出して水漏れ具合を確認する」の工程を何度も繰り返しながら少しずつナットを締めていきましょう。
散水栓から水漏れする原因
散水栓が水漏れを起こしているときには、次のような原因が考えられます。
- パッキンの劣化や破損
- 外的要因による破損
- 配管の破損
それぞれ詳しく説明します。
パッキンの劣化・破損
立水栓と同じように散水栓からの水漏れも、原因のほとんどはパッキンの劣化や破損です。
水漏れ箇所ごとに原因となるパッキンが異なるため、まずは蛇口のどの部分から水漏れをしているのか調べてみましょう。
- 蛇口の先端からの水漏れ:コマパッキン(ケレップ)
- ハンドル部分(カバーナット)からの水漏れ:三角パッキン
- パイプ根元(パイプナット)からの水漏れ:Uパッキン
どの部分のパッキンが原因になっているか分かったら、新しいパッキンに交換しましょう。パッキンが原因で水漏れを起こしていたのなら、新しいものに交換すれば水漏れが止まるはずです。
外的要因による破損
散水栓は地面のボックスに埋め込まれているため、外部からの衝撃によって破損してしまうことがあります。
たとえば、次のようなケースです。
- 地震の揺れ
- 凍結
- 車で踏んでしまった
地面に埋まっている散水栓は、地震の揺れによる衝撃や温度の低下による凍結など、外部の影響を受けやすくなってしまいます。
凍結によって蛇口が破損してしまったときには、氷が完全に溶けてからでないと修理できないので注意してください。また、駐車場に散水栓を設置している場合には、蛇口を車で踏んでしまうというハプニングが起こることもあります。
外的要因によって蛇口本体が破損しまっている場合には、修理ではなく蛇口全体の交換が必要になります。
配管の破損
散水栓からの水漏れは、配管の破損によって引き起こされることもあります。
配管が破損してしまう原因には、蛇口からの水漏れ原因と同じように「地震・凍結・車で踏んだ」などの外的要因が考えられます。
しかし、地面に埋められている配管からの水漏れは、蛇口からの水漏れのようにすぐに症状に気付くことができません。
そのため、次のような症状が出ている場合には、配管の破損を疑ってください。
- 水道料金が急に高くなった
- 配管付近が常に濡れている、水が漏れている
配管の破損は自分で修理ができないので、もしも上記のような症状が出ているのなら、業者に点検依頼をしましょう。配管修理は専門的な知識や技術力が必要になるため、自分で修理をすると状態が悪化してしまう恐れもあります。また、修理箇所によっては工事専門の資格が必要となる場合もあるので、自分でできるのは一時的に水漏れを止める応急処置のみです。
水漏れを放置しておくと余計な水道料金も発生するので、早急に業者に相談しましょう。
蛇口から水漏れしているときの対処法
ここまでは、蛇口から水漏れしてしまう原因についてお伝えしてきました。パッキンやシールテープが原因で水漏れしている場合には、パッキンの交換やシールテープの巻き直しで症状を解消できます。
ここでは、水漏れを起こしているときの対処方法を説明していきましょう。
コマパッキンを交換する
蛇口の先端から水漏れしているときには、コマパッキン(ケレップ)を交換してみましょう。
コマパッキンは蛇口ハンドルの内部に「三角パッキン→座金→スピンドル→コマパッキン」の順で取り付けられているため、交換をするときには水栓上部を分解する必要があります。
作業には次の道具が必要です。
- 新しいコマパッキン
- モンキーレンチ
- ピンセット
では、手順を見てみましょう。
- 止水栓(元栓)を閉じる
- モンキーレンチを使い、カバーナットを反時計回りに回して取り外す
- ハンドルを反時計回りに回してハンドルを含めた水栓上部を取り外す
- ピンセットを使ってコマパッキンを取り出す
- 新しいコマパッキンを蛇口内部に設置する
- 取り外しておいた水栓上部を再設置する
- 元栓を開いて動作確認をする
コマパッキンにはさまざまなサイズがあるため、既存のコマパッキンと同じサイズのものを購入しましょう。サイズを間違えてしまうと、パッキンを交換しても水漏れを止めることはできません。
また、新しいコマパッキンを設置するときには、設置向きに注意しましょう。もしも蛇口内部が汚れていたり異物が混入していたりしたら、設置前に取り除いてください。コマパッキンは棒が長い方が上、短い方が下になるように設置します。
三角パッキンを交換する
ハンドル部分(カバーナット)から水漏れをしている場合には、三角パッキンを交換します。
必要な道具は次の3つです。
- 新しい三角パッキン
- レンチまたはウォーターポンププライヤー
手順を見ていきましょう。
- 止水栓(元栓)を閉じる
- レンチを使ってハンドルを固定しているビスを緩め、ハンドルを取り外す
- レンチを使ってカバーナットを緩めて取り外す
- 三角パッキンとパッキン受けを取り外す
- 新しいパッキン受け→三角パッキンの順に取り付ける
- 1~3の工程を逆手順で行い、元に戻す
- 元栓を開いて動作確認をする
コマパッキンと同様に、三角パッキンにもさまざまなサイズがあります。必ず既存のサイズと同じ大きさのものを購入しましょう。また、作業工程4のパッキンを取り外す作業でパッキンが見当たらないときには、カバーナット内部に入り込んでいる可能性があります。古いパッキンを取り残したまま新しいパッキンを設置すると水漏れの原因になるので、必ず古いパッキンは取り外してください。
Uパッキンを交換する
蛇口パイプの根元(パイプナット)から水漏れしているときには、Uパッキンを交換してみましょう。
必要な道具は次の2つです。
- 新しいUパッキン
- レンチまたはウォーターポンププライヤー
手順を説明します。
- 止水栓(元栓)を閉じる
- レンチを使ってパイプナットを緩める
- パイプとUパッキンを取り外す
- 新しいUパッキンの「溝を蛇口本体側に向けて」差し込む
- パイプを取り付けてパイプナットを締めて元の状態に戻す
- 元栓を開いて動作確認をする
他のパッキンと同様にUパッキンにもさまざまなサイズがあるため、既存のパッキンと同じサイズのものを購入してください。また、古いUパッキンは蛇口本体の中に残っていることがあり、古いパッキンを残ったままにしていると水漏れを起こしてしまいます。
新しいパッキンを取り付ける前には、古いパッキンを取り残していないか必ず確認しておきましょう。
シールテープを巻き直す
立水栓の場合、蛇口と設置面から水漏れを起こすことがあります。その場合は、シールテープを巻き直してみましょう。
シールテープの巻き直しに必要な道具は、次の3つです。
- シールテープ
- 水栓取り外しレンチ
- 歯ブラシ
手順を説明していきます。
- 止水栓(元栓)を閉じる
- 水栓取り外しレンチを蛇口のハンドル下に引っ掛ける
- 正面から見て反時計回りになるように、水栓取り外しレンチを回して蛇口を取り外す
- 歯ブラシを使って配管内の汚れをきれいに掃除する
- 蛇口の取り付け部分に巻かれている古いシールテープを剥がす
- 新しいシールテープを7〜8回巻きつける
- 1〜3の工程を逆に行い、蛇口を再び取り付ける
- 元栓を開いて動作確認をする
シールテープは正しい手順で巻き直さなければ、巻き直しても再び水漏れを起こしてしまいます。
そのため次のポイントに注意しながら、巻き直しましょう。
- ネジ頭の2つめのネジ山を巻き始めにする
- テープは時計回りに巻く
- 指示通りの巻き回数を巻く
- シールテープを巻いたあとは指の腹でなじませる
シールテープの巻き直しは繊細な作業です。注意点に気をつけながら、作業を行いましょう。
配管は防水テープで応急処置をしておく
前述したように、配管が破損している場合には自分で修理できないので、業者依頼が必要です。しかし、水漏れを「一時的」に止めるための応急処置ならば、自分で行うことができます。
散水栓周辺の土が陥没し、水漏れしている配管の位置が断定できる場合には「防水テープ」を使って応急処置をしておきましょう。防水テープには次のような種類があります。
- 自己癒着テープ
- 防水補修シート
- 水道用ラップシート
どのテープもホームセンターや工具店、100円均一ショップなどで購入できます。
では、応急処置の手順を見ていきましょう。
- 配管周辺の土や汚れをきれい除去して乾燥させる
- テープを必要な長さ(約20cm~30cm)に切り、配管に巻きつける
- 保護テープがある場合は防水テープの上に保護テープを貼っておく
軽度な水漏れであれば防水テープで一時的に水漏れを防げますが、勢いよく水漏れしている場合にはテープでは抑えきれません。また、テープが正しく巻けていない場合にも、テープの隙間から再び水漏れをしてしまいます。
防水テープで水漏れを止められたとしても、あくまで「一時的な応急処置」なので、早急に業者に連絡をしましょう。
蛇口の水漏れ修理を業者依頼するときの費用相場
立水栓や散水栓の蛇口が水漏れを起こしているとき、どのくらいの修理費用がかかるか心配になりますよね。
修理費用は業者によって異なるため、見積もりをしなければ正しい金額は分かりません。そのため、ここでは修理費用の「相場」をお伝えします。
- 水漏れ修理全般:10,000円前後
- パッキンの交換:10,000円前後
- スピンドル、ハンドル、パッキンの交換:20,000円前後
- 配管修理:30,000円~50,000円程度
業者によっては上記の金額に加えて、出張費や早朝・深夜料金などの「手数料」がかかる場合があります。正しい費用相場を把握するためには、必ず複数業者から見積もりを取る「相見積もり」をしておきましょう。
屋外水栓をできるだけ長持ちさせる方法
立水栓や散水栓などの屋外水栓は、外に設置されているため屋内では起こらないようなトラブルが起こります。屋外水栓をできるだけ長持ちさせるためには、どのようなことに気を付けたらいいのでしょうか。ここでは、屋外水栓を長持ちさせる方法を2つ紹介します。
点検やメンテナンスをする
経年劣化によるトラブルを防ぐためには、点検やメンテナンスが必要です。蛇口全般の寿命は、一般的に10年程度だといわれています。そのため、蛇口の設置から10年近く経っているのなら、トラブルが起こったり寿命を迎えたりしてもおかしくない状態です。
蛇口を少しでも長持ちさせるためには、定期的に検査やメンテナンスをしておきましょう。
蛇口周辺を掃除する
蛇口のトラブルは水漏れだけではありません。ほとんどの立水栓には排水設備が備わっており、周辺のゴミや汚れによって、つまりを起こしてしまうことがあります。とくに秋は枯葉が落ちやすく、掃除をしていなければ落ち葉が排水設備につまってしまいます。
立水栓を使用しないときには、排水口にゴム栓やカバー、ふたをするなど、ゴミの侵入を防ぐ対策や小まめな掃除を行っておきましょう。
まとめ
屋外に設置されている蛇口には「立水栓」と「散水栓」の2種類に分かれます。
水漏れを起こしているときには、どちらの蛇口でも「パッキンの劣化・破損」が原因となっていることがほとんどです。水漏れ箇所から劣化や破損しているパッキンを突き止め、新しいパッキンに交換しましょう。
パッキンが原因で水漏れを起こしていたのなら、新しいものに交換することで水漏れは解消されます。
もしもパッキンの交換で水漏れが解消しないのなら、本記事を参考にして他の原因を探ってみてください。
水漏れの原因に配管の破損が考えられる場合には、自分で対処しようとせず、早急に業者依頼をしましょう。
屋外に設置されている蛇口は外的要因や経年劣化によって、屋内では起こらないようなトラブルが起こります。
できるだけ蛇口を長持ちさせるためにも、定期的な点検とメンテナンス、掃除を行っておきましょう。
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※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
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