2026年1月6日に70歳の生涯を閉じたタル・ベーラ。その死から一年、初公開以来、長らく日本では観ることが叶わなかった『倫敦から来た男』の初のデジタル版でのリバイバル公開と、長編6作を一挙上映する特集上映「タル・ベーラ 凝視せよ、抵抗せよ」(配給:ビターズ・エンド)が、2026年12月19日よりシアター・イメージフォーラムほかにて開催される。この度、『倫敦から来た男』の劇場初公開時の予告編が復刻される運びとなり、YouTubeにて公開された。また、予告編には音楽家の細野晴臣がコメントを寄せている。

  • タル・ベーラ監督『倫敦から来た男』デジタル版の劇場初公開時の予告編が復刻

    タル・ベーラ監督『倫敦から来た男』デジタル版の劇場初公開時の予告編が復刻

今回リバイバル公開される『倫敦から来た男』の2009年劇場初公開時の予告編が復刻される運びとなり、YouTubeにて公開された。『倫敦から来た男』はタル・ベーラ監督作として初めてカンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された作品でもある。

復刻された予告編は、音楽家・細野晴臣の「光と影だけの世界に繰り広げられる夢とも言えない因果なるレアリスモ。金縛りにあったら身を任せよう。これでも始まりと終わりがあるのだ」という印象的なコメントから始まり、そのバックには、夜の闇の中、港に停泊する船とその横を通る鉄道が圧倒的なワンショットで描き出される。まさにタル・ベーラにしか表現できない映像と言えよう。続いて映し出されるのは、ある夜、鉄道員のマロワン(ミロスラヴ・クロボット)が、偶然、目撃した「倫敦から来た男」ブラウン(デルジ・ヤーノシュ)が犯した殺人の現場と、大金の入った水に濡れたトランク。「メグレ警視」シリーズで知られる文豪ジョルジュ・シムノンのノワール・ミステリーの世界を鮮やかに表出している。「ゆっくりと運命の歯車が狂ってゆく」という言葉に導かれるように、マロワンの妻を演じるティルダ・スウィントンを始めとする登場人物の運命が狂っていく様を短いカットで畳み掛ける映像となっている。

■ストーリー
果てることない海のそば。静かに生きる鉄道員のマロワンは毎晩、「ガラスの檻」のような制御室から、漆黒の港と駅を見下ろしている。ある夜、マロワンは偶然にも“倫敦から来た男”ブラウンが犯した殺人の現場を目撃してしまう。そして、殺された男が持っていた大金の入ったトランクを、マロワンは海中から見つけ出す。それはブラウンが必死に探していたものだった……。出会うはずのなかった男たちの人生が交差し、ゆっくり破滅へと向かってゆく。

■出演者(役名:俳優名)
マロワン:ミロスラヴ・クロボット
マロワンの妻:ティルダ・スウィントン
アンリエット:ボーク・エリカ
ブラウン:デルジ・ヤーノシュ

■スタッフ
監督:タル・ベーラ
原作:ジョルジュ・シムノン
脚本:クラスナホルカイ・ラースロー、タル・ベーラ
撮影監督:フレッド・ケレメン
音楽:ヴィーグ・ミハーイ
編集・共同監督:フラニツキー・アーグネシュ