Samsung Electronicsを中核とするSamsungグループは5月24日、今後5年間で設備投資や研究開発に450兆ウォン(約45兆円)を投資すると発表した。過去5年間の投資実績330兆ウォンから36%積み増すことになる。

総額450兆ウォンのうち、8割に相当する360兆ウォンを国内に投じるという。こちらも過去5年間の250兆ウォンから44%も積み増す。また、グループ全体で今後5年間で8万人の若者を新規採用することにより、国内の青年失業緩和に貢献するともしている。

主な投資先としては、Samsung Electronicsの半導体事業とSamsung Display(SDI)の車載電池事業、Samsung Biologicsのバイオ医薬品の受託生産事業としている。

韓国政府が提唱する「半導体超強大国」{#ID1}

Samsungは、半導体メモリで首位を堅持するとともに非メモリ・システム半導体/ファウンドリ事業でトップとなることを目指す「半導体超強大国」の達成を主導する立場として、国家経済の発展に寄与する戦略を、「メモリ」、「システム半導体(LSI)」、「ファウンドリ事業」に分けて、それぞれ説明している。

メモリ - 先端技術の先制的適用でリーダーシップを強化

Samsungが30年以上にわたって高い競争力を発揮しているメモリ市場だが、競合他社もキャッチアップを進めているほか、巨大な内需市場と国家的な支援を受け成長を続ける新興の中国メーカーに対しても同社では脅威とみなしており、こうした競合各社に対し、先端技術を真っ先に適用することで、他社の一歩先を行き、市場シェアの拡大を図る戦略を掲げている。

すでに同社は2021年10月に、最先端露光技術であるEUV工程を適用した14nm DRAMの量産を発表している。この14nm DRAMは、競合であるMicron Technologyの10nm級第4世代DRAMより線幅が短く、「先行技術力」を確認したとしている。

また、14nm DRAMの生産ではEUV露光を活用するレイヤを5層に拡大しており、こうしたDRAMのマルチレイヤにEUVプロセスを適用したのも他社に先駆けたものだとしている。

こうした他社に先駆けた先端技術の適用を今後も継続して行っていくことで、技術力の超格差戦略の強化を図るとしているほか、プロセスの微細化の限界を克服できる新素材・新構造に対するR&Dを強化し、微細化に有利なEUV技術の早期導入など、先端技術を率先して適用していくとしている。