NTTデータ経営研究所、NTTドコモ北海道支社、ホクレン農業協同組合連合会、宮崎大学、北海道イシダ、きたみらい農業協同組合、訓子府町の7者は10月25日、産学官連携によるローカル5Gを用いたスマート農業の実現に向けた実証実験を開始すると発表した。

実証実験は訓子府町内のホクレン訓子府実証農場を実証フィールドとして、フリーストール牛舎にローカル5G基地局を設置し、ローカル5G端末に接続した4Kカメラや3Dカメラで撮影した乳牛の高精細映像画像を分析することで、システムを用いた乳牛の個体識別、位置検索、健康状態の把握による生産性の向上を目指す。

乳牛の廃用の原因でもある蹄病は、生乳の品質や生産効率を下げるため経済的存立の要因であるが、畜産業においては高齢化が進む一方で1戸あたりの飼育頭数が増加傾向にあるため、1頭1頭の健康管理が困難となっている。そこで今回の実証実験では、フリーストール牛舎内に設置した三次元カメラと、4Kカメラにより撮影された画像をAI を用いて解析し、乳牛の歩行の様子を観察する。正常な歩行ができない状態を検知可能かを検証し、蹄病の早期発見につなげるという。

  • 歩行検知のシステムイメージ

また、牛が自由に動き回る牛舎内では、個体ごとに健康状態を確認するため、1頭ずつに耳標番号を割り当てて管理している。しかし、1頭ずつを探し当てるのは非常に時間を要する点が課題であった。そこで、同実証実験では複数のカメラとAIを用いて個体識別を行い、フリーストール牛舎内での牛の動線を追跡し、スマートフォンやタブレットから乳牛の位置が検索できるのかを確認する。

  • 個体識別のシステムイメージ

さらに、畜産コンサルタントや獣医師による現地訪問は往来距離や人手不足の観点から限定されてしまう背景を受けて、同実証実験では4Kカメラとスマートグラスを用いた遠隔指導の環境構築を目指す。4Kカメラおよびスマートグラスを用いて、映像や音声通話、病歴といった乳牛の個体データを提供し、遠隔での技術指導や相談が可能な環境を構築することで、生産性の向上を狙う。

  • 遠隔指導のシステムイメージ