サントリー食品インターナショナルは10月19日、都内で記者説明会を開き、職場内のコミュニケーションがリモートワークの普及・時差出勤などで減少していることに着目し、コミュニケーションの活性化を目的とした、法人向けの新サービス「社長のおごり自販機」の展開を開始すると発表した。

  • 「社長のおごり自販機」の外観

    「社長のおごり自販機」の外観

冒頭、サントリービバレッジソリューション 事業推進本部長の須野原剛氏は「自販機はオフィスの中で直接サービスを提供できる特別な接点だ。現在、当社は法人の課題を解決するサービス開発を強化しており、その一環として健康経営アプリ『SUNTORY+』を提供している。今回、組織におけるコミュニケーション活性化を目的に社長のおごり自販機を発表した」と話す。

  • サントリービバレッジソリューション 事業推進本部長の須野原剛氏

    サントリービバレッジソリューション 事業推進本部長の須野原剛氏

同社では、働き方が多様化しリモートワーク化が加速する中で、上司・部下・同僚間での仕事以外のコミュニケーション機会が減っていることを課題と捉え、“自販機でオフィスをちょっとハッピーに"という想いのもと、いつでも手軽に飲み物が買える自販機を通じて、職場内のコミュニケーションのきっかけを増やせないかと考え、新サービスを開発。

新サービスは、社員2人が自販機の対象部分に2枚の社員証を同時にタッチすることで、それぞれ1本ずつ飲み物が無料(費用は会社負担)でもらえるというものだ。

須野原氏は「新型コロナウイルスにより、働き方が劇的に変わった。リモートワークの影響は絶大であり、移動時間の削減による時間の有効活用などポジティブな側面と、運動・雑談不足をはじめとしたネガティブな面があるものの、同僚との雑談が極端に減少し、社内コミュニケーションの不足といった新たな課題を企業は抱えている」と指摘する。

雑談がない状況では、従業員側は「ほんのちょっとしたことが聞きづらい」「新しい人と知り合わない」「暗い会議、アイデアが煮詰まる」、企業側では「生産性の低下」「若手社員の孤立」「創造性の低下」などが懸念されている。

こうした状況を鑑みて、同氏は「オフィスにいるときの大切な雑談を自販機で増やしたいと考えた。自販機は1人で行くときはリフレッシュスペースだが、2人で行くときはコミュニケーションスペースになることから、2人で買いに行くきっかけがあれば多くの雑談を生み出すことができる」と力を込める。

サービスの仕組みは、既存の自販機を活用して2つの社員証リーダーを搭載し、認証基盤を設けて無料で飲料を提供する。各々飲みたい商品を決め、社員証を2人で同時にリーダーにタッチし、10秒以内にボタンを押せば商品が出てくる。

  • 「社長のおごり自販機」のサービスの仕組み

    「社長のおごり自販機」のサービスの仕組み

  • 「社長のおごり自販機」のサービスの使い方

    「社長のおごり自販機」のサービスの使い方

まずは同社の田町オフィスに設置した社内実験を行い、好意的な声が寄せられたため、実証実験のパートナーとしてコクヨが手を挙げた。コクヨは今年2月に長期的視点で社会課題解決に取り組むこれからの“働き方の実験場"として東京品川オフィスおよび東京ショールームの自社ビルをリニューアルし「THE CAMPUS」をオープンしている。

今回、社長のおごり自販機を開発したサントリーとTHE CAMPUSの目指す方向性が合致したため、同サービスの本格導入に先駆けて、THE CAMPUS内に自販機を導入し、実証実験を行っている。

  • 実証実験のパートナーとしてコクヨが手を挙げた

    実証実験のパートナーとしてコクヨが手を挙げた

コクヨ 代表取締役社長の黒田英邦氏は「当社は文房具に加え、BtoBではオフィス家具の提供、オフィス空間の創出などで多くの支持をいただいている。コミュニケーションの活性化を図ることは経営者の重要な仕事であり、今回の取り組みを即決した。3~4か月の実証実験を行ったが、1か月あたり平均1000回使われており、現場では好意的に受け止められている」と述べていた。

  • コクヨ 代表取締役社長の黒田英邦氏

    コクヨ 代表取締役社長の黒田英邦氏

なお、新サービスは社員証をかざして無料になる時間・曜日や、1人1日あたりの無料になる上限本数、同ペアで無料になる上限回数、社名ロゴ。サービス名称などPOPの文言など、要望に応じてカスタマイズを可能としている。今後、首都圏から順次展開し、2022年に100社への導入を目指す。