本来であればオリンピックイヤーだが、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大で東京でのオリンピック延期が決定し、一大スポーツイベントで盛り上がるはずだった2020年の夏も終わりを迎えようとしている。オリンピック前後ともなると日増しにスポーツへの意識が高まり、体を動かしたい欲求に突き動かされる人も多いことだろう。

しかし一方で、自身の健康管理には目を背け、勝手気ままに暴飲暴食を重ねて自堕落な生活を送る……。社会人ともなると、そのような生活を送ることが多くなり、みるみるうちに以前とは別人、ダルダルになった自分の体形に愕然とし、一念発起だなんだと言い聞かせて、いざ体を動かそうと試みるが、三日坊主もしくは体力の限界で継続できないのが関の山だ。

このような経験を一度はしたことがある読者の方もいるのではないだろうか?かく言う筆者は経験している。なんなら何百回だってある。

何百回、何千回も体を動かそうと思い立って、やっとこさ習慣化されて光明が差してきたなぁって甘えていると今日は自分へのご褒美だなんてかこつけて、部屋でポテトチップス片手に横になりながらゴロゴロ、そんな状態になると明くる日には運動のことなんかすっかり忘れた状態になる。そう、体を動かすことが日常ではない人にとって「運動」とは、チャレンジと失敗の繰り返しなのである。

健康経営を無償でサポートする「SUNTORY+」

前置きが長くなったが、そんな自堕落な生活を少しでも改善し、健康的な生活を送ることを目的に企業の健康経営を無償でサポートする新サービスを、7月からサントリー食品インターナショナルが展開している。その名も「SUNTORY+」(サントリープラス)。これは、従業員の健康行動習慣化をサポートする無料アプリだ。

今回、同サービスの開発を手がけたサントリー食品インターナショナル ジャパン事業本部 戦略企画本部 イノベーション開発部長の後藤謙治氏の話を紹介する。

まず、同氏は新サービスの趣旨について次のように説明した。

「健康飲料と職場の自動販売機を活用し、ソリューションを提供していくということです。当社は、健康領域に対して『黒烏龍茶』『胡麻麦茶』『特茶』『伊右衛門プラス コレステロール対策』『伊右衛門プラス おいしい糖質対策』をはじめとした特保飲料・機能性表示食を展開し、健康飲料市場のフロントランナーとして切り拓いてきた自負があります。健康飲料のポートフォリオは脂肪、血圧、体脂肪など生活習慣病にフォーカスし、商品を展開しています」(後藤氏)。

  • サントリー食品インターナショナル ジャパン事業本部 戦略企画本部 イノベーション開発部長の後藤謙治氏

    サントリー食品インターナショナル ジャパン事業本部 戦略企画本部 イノベーション開発部長の後藤謙治氏

  • サントリー食品インターナショナルの健康飲料ポートフォリオ

    サントリー食品インターナショナルの健康飲料ポートフォリオ

続けて「これまでは、自販機のユーザーに対して健康飲料を提供するという形で企業の健康経営をサポートしてきましたが、狭い領域だなと感じていたところでした。そのため、7月から従業員の食事、飲料、運動と生活習慣全般をサポートすることに領域を拡大しました」と同氏は話す。

そもそも、新アプリを開発した背景には医療費の企業負担が増加し、健康経営が「経営課題」になっていたと同氏は指摘する。40歳以上では医療費が急増し、負担が増加することに加え、10年後には大企業を中心とした人口ピラミッドは50代が最も多くなることが見込まれている。

また、定年の延長があれば企業の負担も増え、経営していく上で従業員の健康は避けては通れない問題であることに加え、事業の損益にも関わる課題だ。そして、生活習慣病が増えれば増えるほど医療費も増大していくため、何か役立つことができないかと考えたという。

「健康経営に取り組む企業は多く、取り組みの度合いはさまざまではありますが、実践する人は健康意識が高い人ばかりで、大多数の人は何をしても動かない実情があります。そこで、日常の生活動線上にある飲用機会や職場に自販機が設置されているというタッチポイント、当社の健康飲料ポートフォリオとマーケティングを通じて培った健康行動を喚起するコミュニケーションを強みとして活かしながら、健康経営をサポートすることができないかということを念頭に置き、サービスを設計しました。そして、スタートしたのが『SUNTORY+』です」と、同氏は開発に至った経緯を語る。

  • 7月から「SUNTORY+」で企業の健康経営サポートを開始した

    7月から「SUNTORY+」で企業の健康経営サポートを開始した