ECは増えるが店舗回帰も - 変化の原動力を理解せよ

Googleはこの「生活動向に関する週次調査」、そして8月7日~11日に全国の男女18~69歳を対象に実施した「新たな行動様式と生活ニーズに関する調査」から、新型コロナで変化する生活者の意識について分析したレポートも公開している。

Googleでコンシューマーマーケットインサイトチーム マーケティング リサーチ マネージャーを務める朴ヨンテ氏は、2つの調査から浮き彫りになった新しい生活様式の5つの特徴を次のように挙げている。

(1)頼らないことで安心感を得たい (2)隔てることで、つながりを保ちたい (3)ささいなことから、確実な幸せを得たい (4)余計を減らして、余裕を持ちたい (5)「正しい情報」を追い続けることで、安全になりたい

頼らないことで安心感を得たい

(1)については、「これまであって当たり前と思っていた基盤が揺らぎ、不確実性が高まったことで、自ら積極的に変化を起こすことで安心を得たいという考え方の増加が見られる」と、朴氏は分析している。自粛期間中に自ら計画を立て、行動を起こすなど不安を解消しようとする動きが活発になったという。35.6%が「スキルアップや自己投資のための時間を増やしたい」と回答、料理、プログラミングなど「何か新しい知識や技術の学習に取り組んだ」という人は26.5%いたという。

あわせて、50.5%が「健康意識が高まった」と回答したのをはじめ、「運動習慣を見直した」(36.2%)「食生活を見直した」(33.3%)など、自分の心身のケアに注意が向かっていることも紹介している。

その一方で、「誰かに助けて欲しいと思う」は低下し、「前より良くしたい」が高まりつつあることもわかった。

「不確実性が高まった社会、経済に対して依存することに不安を感じている人が、他に頼らず自らの変化、行動、成長といった方法で安心を得ようとしていることが、調査結果から読み取れる」と朴氏はまとめている。

隔てることで、つながりを保ちたい

(2)の「隔てることで、つながりを保ちたい」については、「ウチ」と「ソト」の関係が、「ソト」を「ウチ」にと逆転したこと、また境界がなくなりつつあることが指摘されている。

好例がオンライン飲み会だ。本来、飲み会はソトで行われるものだったが、新型コロナウイルスの影響で、ウチで行われるようになった。ウチにソトが張り込んできたことで、ウチの快適さや家族を大切にしたいという意識が高まっているという。39.5%が「家族やパートナーと過ごす時間の大切さを感じた」としている。

「ソト」と「ウチ」というボーダーラインがなくなったことにより、人々は家族やパートナー、友人や同僚など、社会集団との交わり方を工夫し、従来のつながりを保とうとしているようだ。

ささいなことから、確実な幸せを得たい

(3)については、全体として「手軽に取り組める活動や負担の少ない消費といった、自分の力で得られる「小さな幸せ」を求める行動が増えている」と朴氏は指摘、45.1%が「好きなことをより充実させたい」、33.7%が「新たな楽しみや没頭できることを見つけた」と回答している。

コロナ禍はECの活用を促進させたが、ホームセンターなどオフラインでの購入も増加しているという。「店舗の空間自体を楽しみたい」「商品を実際に手に取って自分が好きなものを選択したい」など「買い物体験自体を楽しみたいという気持ち」が生まれているのでは、と予想している。なお、35.1%が「ECサイトより店舗がいい」と回答するなど、店舗の良さを再認識している人もいるようだ。

余計を減らして、余裕を持ちたい

(4)では、オンライン授業、オンライン会議を例にとり、「移動の手間がない」「無駄な会話が減った」という声が紹介されている。外出自粛中にオンライン会議を経験した人は32.5%、そのうち57%はオンライン会議を継続したいと回答している。

  • 今後もオンライン会議を続けたいビジネスパーソンは多い 資料:Google「新たな行動様式と生活ニーズに関する調査」

このように当たり前と思われていた通勤や通学の時間がなくなったことで、生活全般における行動を見直す動きも見られたという。その例として、自粛中に不要なものを売ったり捨てたりして手放した人、自然に近い場所に住むことに魅力を感じた人が増えたことが挙げられている。

「正しい情報」を追い続けることで、安全になりたい

(5)の「正しい情報」は、新型コロナに関する正しい情報を知りたいというニーズだ。2月~3月に深刻化したトイレットペーパー不足問題など、誰もが情報発信できる中で正確かどうかわからないのに情報が広まることに対する懸念とも言える。

調査では、新型コロナ関連の情報について「情報を見つけるのが難しいものがあった」という人は55.9%に及んだ。最も多かったのは、「マスク・消毒液などの流通状況」で19.3%、続いて、「検査キット・ワクチンなどの開発状況」(15.4%)、「生活圏・市町村別での感染状況」(14.8%)、「コロナウイルスに感染した場合の対応」(13.8%)など。

朴氏は、「情報収集のための情報を増やした人、情報の正しさを自分で精査するようになった人も増えている」とコメントしている。情報源としては、「テレビ(ニュース、報道番組)」が最も多く70.2%、「検索を通じた情報収集」(66.5%)「ニュースサイト・アプリ」(45.5%)などが多い。「政府から発信される公式情報」「自治体から発信される公式情報」はそれぞれ22.6%、24.8%と低めだ。

コロナ禍で消費者の意識が変化する中、企業は新たなニーズに気づくだけでなく、その軸となる原動力にも注目すべき、と朴氏は助言している。原動力はホープ(望み)と言い換えることもでき、原動力を理解することで「人々に寄り添う事業やサービスの構想や開発が可能になる」と示唆している。