日立とがん研究会有明病院は7月22日、同病院が進める新型コロナウイルス感染症に負けない「がん治療の砦作戦」の取り組みとして、コミュニケーションロボット「EMIEW (エミュー)」を来院者の安全確保補助として活用した効果の評価研究を2020年7月1日に開始したと発表した。

「EMIEW」は、同社が開発したコミュニケーションロボット。リモートブレイン構成のロボットIT基盤と連携することで、拡張と業務システムとの連携を行うことが可能。多言語会話と自律走行機能を有しており、公共空間での利用に求められる雑音環境下での音声認識性能を特徴としている。

  • 「EMIEW」を活用したがん研究会有明病院の入口対応

同病院では、1日当たり約1,800名の外来患者とその家族が来院するため、事務職員や看護師をはじめとする医療従事者は来院者の体温や症状チェック、手指衛生の案内などに多くの時間を費やしており、新型コロナウイルス感染症が流行する前と比べ、医療従事者の業務負担は増加しているという。

そこで、両者は医療従事者の業務負担低減策の一環として、2020年7月1日から2021年3月末まで同研究を実施する。第1段階として、新型コロナウイルス感染症対策として病院の正面玄関で行っている来院者への注意喚起とサーモカメラを用いて体温チェックをする際、「EMIEW」が来院者の案内を実施する医療従事者の補助を行う。

同病院では、「EMIEW」を導入する前は4人の医療従事者が案内にあたっていたが、導入後は2人で案内しており、現在、医療従事者の動線など運用上の課題も含め医療従事者の負担軽減効果の評価を進めているとのこと。

また第2段階では、医療従事者の負担のさらなる軽減のため、サーモカメラと「EMIEW」が連動して、発熱が認められる来院者には自動的に「EMIEW」が注意を促すなど、来院者の状況に応じた案内の実証を行う。今後、研究によって得られたデータや課題をもとに、「EMIEW」が担う業務を拡張していく予定だという。