朝日新聞社は13日、AIを活用することで新幹線車内の電光掲示板に表示される短いニュース記事の予約と見出し作成業務に費やす時間が1日約90分から1分へと短縮できたことを発表した。

新幹線などの電光掲示板に流れる短いニュースは、目に留まるほんのわずかの瞬間で概略を知らせてくれる。多岐にわたるニュースの主旨を外さずに要約していくことはそれほど簡単なことではない。"48文字以内の要約"と"10文字以内の見出し"作成にかかる編集業務はこれまで1日約90分程度要していたそうだ。これを同社自身の「自動要約生成API(Application Programming Interface)」を用いることで、1分以内への短縮に成功していることを同社は発表した。

自動要約生成APIは人工知能研究に取り組む朝日新聞社メディアラボの成果物のひとつ。新聞社は、長年にわたり世の中の日々の出来事を記事データとしてストックしているが、これをアセットとして使うことで新たな試みも可能になる。同APIでは過去30年分の記事データの機械学習から文章の"見出し"や"要約文"を生成する機能を実装している。

公式Webサイトには実際の記事から、紙面用(長さ指定なし)/紙面用(32文字指定)/26文字見出し/13文字見出し/10文字見出し/新幹線の電光掲示板風、と条件が異なる文字数に適切に納まるニュース見出しが例示されているが精度の高さに目を引かれる。実際の業務では編集者の確認後に新幹線内の電光掲示板などに配信するフローが用いられているが、種々の業務に追われる担当者の加筆修正タスクが大幅に削減されており、時間とともにプレッシャーも軽減されていることが報告されている。