PHPの次期メジャーアップデートバージョンは「PHP 8」として開発が進められている。このバージョンにはJITコンパイラの導入が予定されており、近年高速化が進められてきたPHP実行環境のさらなる高速化が予定されている。

JAXenterは1月23日(米国時間)、「PHP 8 interview: "JIT will bring the language to a whole new level"」において、現在のPHP 8の開発状況や今後の見通しについて開発者目線からの情報を伝えている。特に興味深い内容は次のとおり。

  • PHP 8.0のリリーススケジュールはまだ定まっていない。1つの可能性として、アルファ版に到達するまで毎月プレビュー版をリリースするというものがある。PHP 8がまだリリースされない可能性も指摘されているが、PHP 8の開発は速いペースで続いており、2020年中に登場するのではないかと考えられる
  • PHP 8.0にはJIT (Just In Time)コンパイラが導入される
  • PHP 8.0にはユニオン型が導入される
  • PHP 8.0にはWeakMapクラスが導入される
  • PHP: rfc:php8

    PHP: rfc:php8

インタビューを受けたResearchGateのNíckolas Da Silva氏は「PHP 8で最も重要な点はJITコンパイラが導入されること」と述べており、次のような変化が出てくるだろうと説明している。

  • CPUバウンダリーなタスクでPHPが採用される可能性が出てくる。機械学習、ゲーム開発、ユーザインターフェース開発など、これまでPHPがあまり使われてこなかった分野でPHPの採用が進む可能性がある
  • JITを使用することで、これからはC言語の機能に依存することなく、言語固有の機能を開発できるようになる
  • Webアプリケーションのパフォーマンスが大幅に向上するということはないと見られるが、利用される用途や開発方法などを含めてまったく新しいレベルへ引き上げることになる

PHP 8にJITコンパイラが導入されることで、特にCPU負荷が高い処理が高速化されることが予測されている。ここ数年、PHPは実行環境の高速化に取り組んできた。これまではJITコンパイラを導入していないが、もはやJITコンパイラを導入しなければこれ以上の高速化は難しいという評価が行われており、PHP 8はJITコンパイラを導入することでさらなる高速化が実現できると見込まれている。