子どもがかかりやすい夏風邪の一つとされる手足口病の1週間の報告患者数が過去10年で最多を更新し、今年の風疹の累計患者も増え続けている、と国立感染症研究所が6日明らかにした。風疹の夏段階の統計では流行した13年に次いで多い。厚生労働省はこの夏、手足口病、風疹ともに流行が続いているとして注意を呼びかけている。

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    手足口病のイメージ(いらすとや提供)

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    風疹の累計患者数の2013~2019年の推移(2019年は7月31日までの記録)(国立感染症研究所提供)

国立感染症研究所によると、7月22から28日までの1週間に全国約3000の小児科医療機関から報告された手足口病の患者数は約4万2500人。1機関当たり平均13.42人で、過去10年の1週間の患者数で最多を更新した。報告数は前の週にいったん下がったが、再び増えた。都道府県別で最も多かったのは宮城(31.31人)で、山形(29.28人)、群馬(26.41人)、埼玉(25.39人)、新潟(22.51人)が続いた。

手足口病は、主に夏に流行し、口の中の粘膜や手、足などに水疱(すいほう)性の発疹が出るほか、一部は発熱する急性ウイルス感染症。口内が痛くなると飲食しにくくなるため、脱水症状に注意が必要。特効薬はない。多くは軽症だがまれに脳炎や髄膜炎などを起こすこともあり、熱が続いたり、ぐったりするなどの場合は速やかに医療機関の診断を受ける必要がある。原因ウイルスは複数あるが、飛沫(ひまつ)感染や接触感染などによって広がるため周囲の人間の感染対策は感染した子どもの排泄(はいせつ)物の適切な処理と手洗いをしっかりすることとされる。

また同研究所によると、今年の風疹患者数が7月31日現在の累計で2039人になった。流行は昨年夏から始まり、首都圏や大都市を中心に患者の増加が続いている。地域別では東京都が累計756人で最も多い。次いで神奈川(249人)、千葉(178人)、埼玉(175人)、大阪(122人)の各府県が続いた。

風疹は、2013年に累計患者1万4344人に達する大流行があって以降、2014年319人、2015年163人、2016年126人、2017年91人と減少傾向だった。しかし2018年の報告患者数は2917人。今年は直近の報告週(第30週)時点で2039人となり、厚生労働省は今後の累計患者数が昨年を上回る可能性があるとして注意を呼びかけている。

風疹はくしゃみやせきで感染し、主症状は発疹や発熱など。妊娠の初期は胎児に感染する危険がある。妊娠20週ごろまでの妊婦が風疹ウイルスに感染すると、出生児が目や耳、心臓などに障害が生じる「先天性風疹症候群」になるリスクがあるが、妊婦にはワクチンの接種ができない。妊婦が家族や職場の同僚らから感染するのを防ぐため、厚生労働省は過去に定期接種の機会がなく感染リスクが高い40~57歳の男性を対象に、3年間ワクチン接種を無料にする制度を実施している。

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