政府は、2021年度から5年にわたり日本の科学技術政策の基本となる次期科学技術基本計画の策定作業を始めた。具体的には、安倍晋三首相が議長を務める総合科学技術・イノベーション会議の場で進める。既に4月18日に作業のスタートとなる会議を開催し、次期計画とも密接に関連する人工知能(AI)戦略の基本的な在り方を決めた。具体的な作業は今後本格化するが、次期計画は、現行の第5期計画で定めた、「超スマート社会」実現を目指す「Society 5.0」構想などを引き継ぎ、現行計画を凌駕(りょうが)しつつ持続可能な社会実現も目指す方向性などが示されている。

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    4月18日に首相官邸で開かれた第43回総合科学技術・イノベーション会議(提供・首相官邸)

次期計画の策定作業は、4月18日に首相官邸で開催された第43回総合科学技術・イノベーション会議で始まった。会議の席上、AIやデータ処理などに強い人材の育成枠組みを2025年までに整備し、大学・高校・小中校の教育改革などを通じ、全国で年50万人の大学・高専卒業者が、また年100万人の高校卒業者と小中学生がAIの基礎的知識を学べることなどを柱とするAI戦略が示され、了承された。

またこの日の会議には、総合科学技術・イノベーション会議の議員を務める有識者による「次期科学技術基本計画に向けて」と題した文書も示された。それによると、次期計画を「2021年からの5年間は我が国の国家的な分水嶺となる」と位置付けた。その上で今後の作業の方向性として「次期計画では、2030年から50年のあるべき国家像からバックキャストして構想し、長期的に持続可能な社会の実現に向けた政策提言となるべき」「科学技術に端を発するイノベーションが、すべての人々の生活や幸福に深く浸透し大きな影響力を持つことに鑑みると、次期基本計画の射程は必然的に従来のそれを凌駕するものになるべき」などとしている。

現行の第5期計画は、2016年度から20年度までが対象期間で「未来の産業創造と社会変革」「経済・社会的な課題への対応」「基盤的な力の強化」「人材、知、資金の好循環システムの構築」を4本柱として、「科学技術イノベーションと社会との関係深化」「科学技術イノベーションの推進機能の強化」の2つを計画推進に当たっての重要項目に定めている。

第5期計画は具体的には、サイバー空間とフィジカル空間(現実社会)が高度に融合した「超スマート社会」を未来の姿と位置付け、その実現に向けた一連の取り組みを「Society 5.0」とした。 「Society 5.0」には、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く新たな社会を生み出す変革を科学技術イノベーションが先導するという意味が込められている。また第6章では「科学技術イノベーションの推進に当たり、社会の多様なステークホルダーとの対話と協働に取り組む」としている。

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