ここからはテクノロジーの出番となる。ステップ2から4までの仕組みづくりの話をしたのはOwen氏であった。

ステップ2:データベースの整理を行う

Webサイト、ウェビナー、イベント、リスト購入など、リードマネジメントに使えるデータソースはさまざまだが、匿名顧客がフォームから自動的に入力してくれたものもあれば、マーケティングや営業が自分で入力したものもある。社内にどんなデータがあるかを洗い出し、名寄せなどの前処理を行う。

ステップ3:レポーティングの仕組みを決める

Covanceでは、ステップ1で決めた通り、マーケティング、インサイドセールス、営業がリードマネジメントのプロセスに関与する。それぞれが受け持ちのリードの現状を把握できるよう、複数のデータソースを統合した。役割ごとに必要とするインサイトは異なるが、関係者全員が共通のデータソースにアクセスできる仕組みを整備することが重要になる。

ステップ4:MAの設定を行う

Covanceが採用したMA(Marketing Automation)ツールはOracle Eloquaである。同社はリードスコアリングを効率的に行うため、Oracle Eloquaのテンプレートを使ったという。そのリードが営業に渡せるかどうかを判断するための点数を付けるのがリードスコアリングであり、案件を早くクローズさせるには量ではなく質を重視するべきだとOwen氏は強調した。Owen氏は「リードスコアリングの活用については、まだ最適化の余地がある。全社で改善を続けていきたい」と述べた。

最後のステップはGarvey氏が説明した。

ステップ5:営業と連携する

多くのB2B企業のマーケティングが悩むのが営業の連携であろう。Garvey氏は「営業が最高のパフォーマンスを発揮できるようにするには、営業との継続的な対話を通したインサイトの獲得が必要」と話す。マーケティング(インサイドセールスを含む)が営業と良好な関係を構築するには、ビジネスモデルや組織文化に依存するところが大きい。

Covanceの場合、営業チームが一緒に頑張ろうという姿勢だったことが功を奏したようだ。企業ごとに置かれている環境に違いはあるかもしれないが、それでもGarvey氏はお互いが努力するべきだと訴える。営業との連携を含むプロセスを最適化するため、Covanceは次のようなコミュニケーション機会を用意している。

毎週のチームミーティング

チームとしての信頼感の醸成と営業ができるだけ早くクロージングできるようにすることを目的に実施する。大きな成功があった場合は、どんな工夫をして成功したかを共有する。問題が起きている場合はそれに対してどんなアクションを取るべきかを話し合う。

毎月のタイムアウト

トップ3とボトム3のキャンペーンのパフォーマンスを評価し、チームの理解と他のキャンペーン実行の参考にするために実施する。

毎月の営業との共同ミーティング

営業に渡すリードの質を高めるためのインサイトの獲得を目的に実施する。

リターンはほぼ2倍という驚異的な成果を達成

データドリブンにリードマネジメントを行った結果、Covanceが得られた成果は次のようになる。ステップ1で決めた6つのステージのうち、SALやオポチュニティの数を増やせているのは、営業に質の高いリードを渡せているからであろう。「それぞれが受け持ちのリードに責任を持ち、データドリブンでプロセスを最適化した結果、高いROIを達成した」とGarvey氏は誇らしげに語った。受賞の理由はおそらく高いROIの達成にあると見られる。

  • リード数が30%増加
  • SAL数が4%増加
  • オポチュニティ数が70%増加
  • クロージングしたオポチュニティ数が90%増加
  • ROIは93%向上

この講演で2人が繰り返し強調していたのは、リードの質を重視することの重要性である。リードマネジメントの古典的な課題は、マーケティングが営業にリードを渡しても対応してもらえないというものだ。営業が忙しくて対応を忘れてしまうこともありうるが、BANT条件(Budget:予算、Authority:決裁権限、Needs:ニーズ、Timeframe:タイミング)がそろわないものを渡してしまうことも対応してもらえない原因になりうる。

そうならないように意図したかは不明であるが、Covanceがステップ1で行った戦略の基礎固めは非常に効果があったと言えるだろう。また、マーケティングと営業だけでは対立関係に陥りやすいが、ゼロから仕組みづくりを始めながらも2つの部門の間を取り持つインサイドセールスを設置したのも成功の要因の1つと見られる。

国内ではMAブームが一段落し、ゼロからマーケティング体制やプロセスを整備しようとするB2B企業は以前と比べて少なくなっているかもしれないが、自社の取り組みを見直す上でCovanceの事例を参考にすることを勧めたい。