米Oracleは2019年3月19日~21日(現地時間)、米国ラスベガスにてCRM分野のリーダーを対象とする年次カンファレンス「Oracle Modern Customer Experience 2019」を開催した。このカンファレンスでは、毎年優れたCXプロジェクトを分野ごとに表彰する「The Markie Awards」授賞式も行われる。本稿では、2018年に「Best Lead Management System」部門を受賞した米Covanceが、それまでに取り組んできたリードマネジメントの仕組み作りについて紹介する。

ゼロからリードマネジメントの仕組み作りに挑戦

Covanceは、CRO(Contract Research Organization)と呼ばれる医薬品の臨床開発や臨床試験を請け負う企業である。一般に、医薬品を製造、販売する大手製薬会社は膨大な資金を研究開発に費やす。製薬会社が研究開発から製造、販売までのすべてを手がけていると、新薬が市場に出るまでに時間がかかりすぎてしまうため、製薬会社のパートナーとして市場投入の早期化をサポートするのがCROとなる。

同社の従業員数は5万人。日本にもオフィスを構え、多くの医薬品、バイオテクノロジー企業を顧客に抱える。

Annie Garvey氏(Associate Director, Demand Marketing, Covance)とCourtney Owen氏(Marketing Technology Specialist, Covance)の2人は、「Best Lead Management System: Go from Zero to Best-in-Class, Fast」と題したセッションに登壇し、3カ月でリード(見込み客)の発掘からナーチャリングを行い、営業に渡すまでの体制とプロセスを整備し、数百万ドルの売上貢献を達成するまでに行った施策内容について解説した。

  • Annie Garvey氏(Associate Director, Demand Marketing, Covance)

  • Courtney Owen氏(Marketing Technology Specialist, Covance)

Garvey氏はリードマネジメント成功のポイントとして、次の3点を挙げた。

  • 変革を始めるためにリードマネジメント戦略を明確にする
  • リードマネジメントを確実に成功させるために組織のコラボレーションを強化する
  • パフォーマンスを最大化するためにベストプラクティスを活用する

現在の体制とプロセスを整えるプロジェクトを開始したのは2017年。Covanceはプロジェクトチームを結成し、リードマネジメントを通じて収益を向上させることをゴールに設定した。

Garvey氏はチームのメンバー構成に多様性を持たせることを勧めた。「特に重要なのが役員にプロジェクトオーナーになってもらうこと」と同氏は強調する。さらに、同社のチームにはマーケティングだけでなく、テクノロジー、インサイドセールス、営業のリーダーが参加し、外部のOracle Eloquaの専門家からのアドバイスを得られるようにしたという。

プロジェクトを成功に導いた5つのステップとは?

「プロジェクトは次の5つのステップを経て進めた」とGarvey氏は話す。Covanceは体制を整備した時からアウトソースを選択せず、すべてを自分たちで決めて実行する内製化を目指した。

ステップ1:戦略の基礎を作る

ゼロから仕組みを作るには戦略が必要になる。Covanceでは異なる部門のプロジェクトメンバーが同じゴールに向かって力を発揮できるよう、リードとは何かから始まり、よく使う用語の定義と誰がその質を担保するかを明確にすることからプロジェクトを始めたという。同社は自社のマーケティングファネルを次のように分類し、それぞれに責任部門を割り当てた。

  • サスペクト:マーケティング
  • プロスペクト:マーケティング
  • MQL(Marketing Qualified Leads):インサイドセールス
  • SAL(Sales Approved Leads):インサイドセールスと営業
  • コンタクト:営業
  • オポチュニティ:インサイドセールス

サスペクトは社員や競合などを除く匿名のビジターであるのに対し、プロスペクトはメールアドレスを教えてもらい、リードスコアリングが可能になったリードを指す。リードスコアリングで規定のスコアに達したプロスペクトがMQL、営業の対応がすぐに必要と認められたものがSALとなる。12カ月以内の収益機会があるものを「オポチュニティ」、ないものを「コンタクト」として区別する。また、六つのステージのうち最初の五つを「リード」とする。

最初に用語の定義を行ったのは、多様なメンバーが参加するプロジェクトでは共通言語が必要になると考えたからだ。皆がわかっているつもりになっていた言葉を改めて整理した結果、営業がリードを渡された時、誰がどう対応するかがわかりやすくなったという。