凸版印刷とTISは、VRとARを活用し、遠く離れた別の場所にいる人物が、あたかも同じ空間内に存在しているかのような状況を作り出し、遠隔でのコミュニケーションを可能にする技術を共同開発したことを発表した。

  • 従来のVRの活用方法と同技術の活用方法の違いのイメージ

    従来のVRの活用方法と同技術の活用方法の違いのイメージ

今回開発された技術では、従来のVR空間を使った遠隔共有技術におけるヘッドマウントディスプレイ脱着の煩雑さや、従来のAR空間を使った遠隔共有で引き起こしていた、実際にいる場所の違いによる作業に差異発生という課題を解決し、遠隔地をVRとARを用いてシームレスにつなぐという。

リアルタイム共有(モーション・位置・音声)、空間マッチング(遠隔地と現地の空間情報の自動座標調節)、XR技術(VRとARで相互指示情報の連動)、AR表示(ARキャラクター、付帯情報のAR表示)、VR操作(3次元スキャンされた現地空間の表示と移動をVR空間で行う)、音声・モーション情報の記録・再生(説明や動作のアーカイブ)といった機能を備える。

  • テクノロジーによる社会課題解決と社会実装に向けての展開

    テクノロジーによる社会課題解決と社会実装に向けての展開

なお、同技術の用途検証を進めるにあたり、凸版印刷の運営する印刷博物館にて、観光分野に適用した場合の実証実験として、遠隔からの施設アテンドを行ったという。これにより、VR/ARコンテンツを用いて遠隔地から観光施設・展示場などのガイドを行う有用性を検証したということだ。

凸版印刷とTISは同技術のさらなる改良を進めるとともに、製造業や小売業、教育、観光など様々な分野へ社会実装をしていくという。

また、両社はこの技術を、自動車製造やプラント建設など専門技能の継承が課題とされている工業を始め、知識や文化を伝えていく教育・観光、テクニックやコツを伝えていく芸能・スポーツ、もてなしやサポートを行う接客などで共創へと広げ、社会課題の解決を目指すということだ。