CES 2019に併せて、NVIDIAがGeForce RTX 2060を発表した。筆者の手元にも事前に評価ボードが届いたので、早速その性能を紹介したい。

GeForce RTX 2060であるが、ベースとなるコアはGeForce RTX 2070と同じくTU106コアである。手持ちの資料では細かい数字が示されていないのだが、GeForce RTX 2070と比べて、SM数が36→30に、Tensor Coreが288→240に、RT Coreが36→30にそれぞれ減っている。またメモリバス幅が192bit、ブースト時の最大周波数は1,680MHzとなっている。

このあたりを表1にまとめたが、構造的にはTU106(Photo01)のTPCをGPCあたり5つに減らし、ついでにメモリコントローラを8つから6つに減らした(Photo02)形の実装になっていると考えられる。

  • Photo01:これはNVIDIAのWhitePaperに記載されている、TU106(GeForce RTX 2070)の構造図

  • Photo02:Photo01にちょっと手を加えた、GeForce RTX 2060の想像図。L2を削減しているかどうかは不明

ただし、GeForce RTX 2070からスペックが抑えられたといっても、1,920基のCUDAコア数は、GeForce GTX 1070と肩を並べており、動作周波数的もほぼ同等だ。

さらにGDDR6の採用によって、メモリ帯域は366GB/secと、これまたGeForce GTX 1070 Ti(320GB/sec)を上回っており、x60という型番はついているものの、実質的にはGeForce GTX 1070の置き換えを狙うスペックになっている。

しいていえば、消費電力は160Wと発表されており、150WだったGeForce GTX 1070よりも気持ち多めではあるが、それでも180WのGeForce GTX 1070 Tiよりは少なめに落ち着いている。

評価機材 - 1060/1070/1070 Tiと比較

続いて評価キットの紹介であるが、パッケージは以前のGeForce RTX 2070/2080とほぼ同じ。ファンの口径などは同じだが、全長が少し短いせいもあって、やや寸詰まり感がある(Photo05,06)。

  • Photo03:"2060"の文字だけが異なる

  • Photo04:梱包方式もGeForce RTX 2070/2080と同じく

  • Photo05:ちなみに全長は実測値で230mmとなっている

  • Photo06:裏面の溝も同じく。この結果、寸法は短めなのに、重量は971.6g(実測値)と結構重め。GeForce RTX 2070同様、NVLINKのコネクタはなし

カード全体をヒートシンクが覆う形状は以前と変わらず(Photo07)。バックパネルのI/Oには、Geforce RTX 2070と同じくDVI-Dが用意されている(Photo08)。補助電源の位置も同じだ(Photo09)。

  • Photo07:電源を入れると"GEFORCE RTX"の文字がグリーンに光るのも同じく

  • Photo08:Display Port×2、HDMI×1、DVI-D×1、USB Type-C×1の構成に

  • Photo09:8pin×1の構成

GPU-Zでの表記はこちら(Photo10)である。

  • Photo10:まだA1シリコンであることがわかる。ちなみにDefault Clockは1365MHzとなっている

さて、今回は対抗馬としてGeForce GTX 1060、GeForce GTX 1070およびGeForce GTX 1070 Tiの3つを用意した。スペック的にはGeForce GTX 1070がジャストという感じであるが、一応x60同士ということでGeForce GTX 1060もそろえた格好だ。

そもそも価格的に言えば、GeForce RTX 2060は349ドルという中々意欲的な価格付けになっている。対抗馬の製品価格を1月4日付のamazon.comで調べると GeForce GTX 1060が、250ドル前後、GeForce GTX 1070が380~400ドル、GeForce GTX 1070 Tiが470ドルから(ちなみにいずれも税・送料別だがNVIDIAの349ドルも同じと思われる)だ。

GeForce GTX 1060よりは高いが、GeForce GTX 1070よりは安いという微妙なポジションになっているわけで、今回の3枚は丁度手頃だろうと判断した。

ちなみにGeForce GTX 1060とGeForce GTX 1070 Tiに関してはFounder EditionをNVIDIAより借用したが、GeForce GTX 1070は調達できずに、ASUSよりROG STRIX-GTX1070-O8G-GAMINGを借りている(Photo11~18)。

  • Photo11:ROGブランドの割にはちょっと派手なパッケージな気がする

  • Photo12:3連ファンがかなり目立つ。さすがにパッケージも大型で、全長は295mm(基板は285mm)、高さ120mmほどである

  • Photo13:バックプレートもガッチリと。当然ながら重量も1031.6gと結構な重量級

  • Photo14:出力はDVI-D×1、HDMI×2、DisplayPort×2の構成

  • Photo15:端の厚みを削ることで、見た目薄そうに見える(が、結構厚い)

  • Photo16:後端にはLED照明用と思われる4pinコネクタ×2が

  • Photo17:補助電源はヒートシンクに逃げを作ってこの位置に

  • Photo18:OCモデルということで、本来GPU Clockは1506/1683MHzなのが1633/1835MHzに引き上げられている。Memory Clockは定格のまま

その他の環境は表2に示す通りである。ちなみに以前GeForce RTX 2080/2080 Tiのレビューを行った際、特にGeForce RTX 2080 Tiでは明らかにCPUがボトルネックになるシーンがいくつかあったのだが、今回は性能レンジがだいぶ低いメインストリーム向けなので、Core i7-8700Kで十分であろう、という判断をしている。

CPU Intel Core i7-8700K
M/B ASUS ROG STRIX Z370-F Gaming
(BIOS Version 1601)
メモリ Corsair CML16GX4M2A2666C16
(DDR4-2666 CL16 8GB×2)×2
ストレージ Intel SSD 600p 256GB(M.2/PCIe 3.0 x4) (Boot)
WD WD20EARS 2TB(SATA 3.0)(Data)
グラフィックス GeForce GTX 1060 Founders Edition
ROG STRIX-GTX1070-O8G-GAMING
GeForce GTX 1070Ti Founders Edition
(GeForce Driver 416.34 WHQL)
GeForce RTX 2060 Founders Edition
(GeForce Driver 417.54 WHQL)
OS Windows 10 Pro 64bit 日本語版 Version 1809 Build 17763.168

グラフでの表記は以下の通り。

  • GTX 1060 : GeForce GTX 1060 6GB Founder Edition
  • GTX 1070 : ASUS ROG STRIX-GTX1070-O8G-GAMING
  • GTX 1070Ti : GeForce GTX 1070 Ti Founders Edition
  • RTX 1080 : GeForce RTX 2060 Founders Edition

また、今回の原稿では解像度の表記として

  • 2K:1920×1080pixel(Full HD)
  • 2.5K:2560×1440pixel(WQHD)
  • 3K:3200×1800pixel
  • 4K:3840×2160pixel

を用いるので注意されたい。