BlackBerryは、5月31日の「National Autonomous Vehicle Day(ナショナル自動運転車デー)」を記念し、エグゼクティブメンバーとしてOmniAirコンソーシアムに参画したことを発表した。同社は5月に行われた「OmniAir MotorCity PlugFest」において、V2X証明書の相互接続試験に成功しており、今後、コネクテッドカーと高度道路交通システム(ITS)向け技術の試験・認証・導入の促進を支援していくとしている。

V2X通信は、コネクテッドカーの先進的な機能で、自動車、路側機、都市インフラ、スマートデバイスの間で、リアルタイム通信を実現する技術。より安全な走行を可能にするほか、モビリティの最適化と交通の向上を通じて事故防止、渋滞解消、排出ガス低減にもつながる。しかし、同技術の実現には、自動車同士や信号・道路標識などの間で送受信されるすべてのメッセージにおいて、サイバーセキュリティの確保と高い信頼性の検証が鍵となり、悪質なハッカーたちが不正にV2X上のメッセージにアクセスし、公益を害することができないように設計する必要がある。

同社のセキュリティ認証管理システム(2018年秋提供開始、以下 SCMS)は、不正からメッセージを保護する電子署名と、信頼できる送信元を特定する証明書のふたつの方法で、車車間・路車間の通信におけるセキュリティを担保する。これにより、OEMやサプライヤー、都市インフラ産業メーカー、路上機器産業メーカーは、車載用組み込みシステムにV2Xのセキュリティプロトコルを実装できる。コネクテッドカーやネットワーク機器は、SCMSに登録され認可された認証局からセキュリティ証明書を取得し、これらの証明書を使用したV2Xメッセージに署名可能となる。

OmniAirコンソーシアムは、堅牢でセキュアな協調走行用の通信システムの技術開発を促進するべく、車車間(V2V)、路車間(V2I)、車車間・路車間(V2X)の各種デバイス向けの試験・認証プログラムを開発している。メンバーは互いに協力し合い、セキュリティと相互運用可性に優れたコネクテッドカー技術の普及を推進しており、技術的な課題への取り組み、独立した第三者機関による試験・認証の促進においても連携しているという。

なお、BlackBerry Certicomのバイスプレジデント兼ジェネラル・マネージャーであるJim Alfred氏は、次のように述べている。「コネクテッドカーの未来は、自動車と都市インフラ、車車間、スマートデバイス間に、いかにセキュアな通信を確立できるかに依存しています。この可能性を最大限実現するために、車は他の車や周囲の環境と、同一の言語とプロトコルで通信を行う必要があります。これにより、通信の信頼性を保証することができるのです。今回発表した最新のセキュリティ認証管理システム(SCMS)は、V2X通信のセキュリティ、信頼性、安全性を強化します。」

一方、OmniAirのエグゼクティブ・ディレクターJason Conley氏は、次のように述べている。「BlackBerryをOmniAirの一員として迎え入れられること、そして、V2Xデバイスの認証プロセスの標準化という私たちの取り組みに貢献してくれることを嬉しく思います。セキュリティと相互運用性に優れたV2Xエコシステムを実現するには、V2Xデバイスの認証プログラムの構築・管理が必要不可欠です。信頼済みデバイスにおける認証局運用の知見を持ち合わせるBlackBerryの参画により、OmniAirのV2X相互運用性プログラムは、より強力なものになると確信しています。」