近年、注目を集める職業「データサイエンティスト」。名前を聞いたことはあっても、仕事の詳細や必要なスキルについて詳しく知っている人は、そこまで多くないのではないだろうか。今回、データサイエンスに関わる教育・研修事業などを手がけるデータミックス代表取締役社長の堅田洋資氏に、データサイエンティストの業務や必要なスキルについて話を聞いた。

膨大かつ多様なデータ分析が主なミッション

データミックス代表取締役社長の堅田洋資氏

データミックス代表取締役社長の堅田洋資氏

そもそも、データサイエンティストとはどのような仕事をする人のことを指すのか。

「明確な定義づけは行われていませんが、データサイエンティストという言葉は、ビッグデータやIoT、AIといったテクノロジーの普及とともに使われるようになりました。たとえばTwitterなどで集めた大量の情報から、ビジネスに生かせる知見を導き出すことが、データサイエンティストの主な仕事です。そのほか、サイエンティストというだけあって、A/Bテストのような実験を行い、効果の検証なども行います」と、堅田氏。

検証では、たとえばECサイト上のレコメンデーションエンジンについて、半分の人にはレコメンドして、残りの半分にはレコメンドをせず、クリック率や滞在時間の変化について比較・分析するといったテストを実施するという。

「似たような言葉にデータアナリストがありますが、それぞれ扱うデータの量や範囲が違うというイメージです。アナリストは企業の財務情報やERPにある在庫情報など、構造化データと呼ばれているようなスプレッドシートに収まる情報を対象にします。一方で、Excelでは行うことのできない日本語の分析など、非構造化データを含めるのがサイエンティストですね」

企業は顧客の属性情報や購買情報など、さまざまなデータを保有している。SNSには個人の投稿がアップされ、ECサイトにはクチコミがあふれる。今後、IoTの普及によって膨大なセンサーログが手に入るようになるだろう。そんな数千万、数億レコードにも及ぶ膨大なデータから、意味を導き出し、ビジネス課題を解決することがデータサイエンティストのミッションなのだ。