--ルワンダの開発案件はどのような傾向があるのか?--

田中氏: ルワンダのITビジネス状況は大きく「外資系、通信キャリア、銀行などの情報部門」と「民間系IT企業」に分けることができます。

ITベンチャー 外資系、大手などの案件はあくまで情報部門向けの開発案件であり、自社の管理運営が中心です。 民間系においては、大手の事業者からの受託開発・システム運用が多いようです。

ワイヤードインは、海外からの受託開発を行っている数少ない企業ですが、 一方、ルワンダ国内やアフリカ諸国の経済成長に伴うシステム開発の需要の増加が見込まれており、 今後も仕事量は増えて行くと予想しています。

ルワンダにITベンチャーは多く存在しますが、実体として、就職先がなくてとりあえず起業している人も多いようです。ただ、 ITベンチャーに対する支援などがあることから、成功事例も出てきています。 エンジニアとして、自分たちの生み出したサービスで成功することは 夢のある話ですから、モチベーションを持って取り組んでいるエンジニアも多いかと思います。

世界的に見てもベンチャーの成功率は数%ですから、 いくつかのベンチャーが大きく成功し、雇用を生み出すということを期待したいですし、 一方で、地道に自分たちの強みを作って経験を積んで着実に ビジネス規模を大きくしていくような、IT系のビジネスも一方で育つことも期待しています。

Umutoni氏: AC GroupのTap and GoやMTNのTap&payなどのモバイルマネー、電子決済関連システム、JumiaやDMM.HEHEが手掛けているEコマースなどの仕事が多いです。今後大きくなることが予想されるのはオンラインの銀行口座システムなどです。

野呂氏: 研修に参加された方々に聞くと、現地企業の業務システム(在庫管理システムなど)の案件が多いようです。経済の伸びとともに、Webページの制作、業務効率化のためのシステム開発の案件があるのだと感じます。スマートフォンの普及率が高いため、スマートフォンサイトの案件は増えていくと思います。

--職業としてのプログラマーの人気度と給与について教えてほしい--

田中氏: ルワンダの現状から、プログラマーの内需はそこまで多くありません。ただ、その少ない中で必要とされるプログラマーへの要求は逆に高く、プログラマーの給与は 一般的な職業よりもかなり高いと言えます。 また、首都であるキガリと農村部では格差が激しく、人口の大半である農村部で一般的な職業と比較した場合、 一定以上のレベルのIT企業で雇用されているプログラマーは、比較にならないぐらい差があると言っても過言ではありません。給与が高く、今後の需要もあることから、プログラマーはとても人気のある仕事です。

国の方針として、IT立国を掲げており、そのために積極的にエンジニアやプログラマーを育ていることも関係しています。 また、当社のように海外の仕事をやる企業も出てきているほか、 ルワンダの若手エンジニアが立ち上げた事業の成功事例も出てきつつあり、 ある意味憧れの職業的なポジションにあると思います。

Umutoni氏: プログラマーの給与は一般的に高いです。会計や他の専門を専攻した人たちよりも高い給与をもらえるチャンスのある職業だと思います。職業としての人気も高いです。ルワンダの政策としてICTを推し進めており、今後も需要が大きくなることが期待できるため、今後も人気の高い職業として存在していくと思います。

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以上が、ルワンダのIT事情となるが、いかがだっただろうか? IT立国を政策の中心に据えているルワンダにおいて、開発需要は高い一方でエンジニアが不足しており、その分給与が高い状況にある。他の国と同様、このような状況において、システム開発の品質向上を進めることは苦労が多いと思っている。

一方で、日本は開発品質へのこだわりが高い国としても知られており、日本で育ったエンジニアの品質に関する考え方や品質管理のノウハウは海外でも重宝されるのではないかと考えている。海外で働きたいエンジニアにとって、ルワンダは活躍の場があるうえ、治安もよく、移住先としても魅力的なのではないだろうか。

左から、DMM.HeHe の一宮氏、Alex Kapungu氏、野呂氏、NPO法人エドテックグローバル 落合氏