――大田社長は、1976年にニチメンに入社し、海外を中心に商社で長年の経験を持っていますね。その後、2010年にサンテレホン、2014年にミヤコ化学で社長を歴任してきました。こうした経験はVAIOの経営にどう生きますか。

過去に社長を務めた会社では、再建するという仕事が中心で、それに対しては、成功させてきたと自負しています。ただ、VAIOの場合は、再建ではなく、創業のフェーズにありますから、成長軌道に乗せて、自立させることが私の役割となります。そして、社員たちが、ソニーを見返すことができるほどの業績を実現したい。

また、新たな人事制度をつくり、それによって社員の力がより発揮できる環境も作りました。社内に対して、社外に対して、私の経験が生きると考えています。いまの時期は中央集権型の経営体制を取ることが大切だと思っています。いま作っている組織体制では、すべての決裁を私に集中させています。それが迅速な意思決定につながるからです。軌道に乗ったらその体制は変えていきたいですね。同時にバトンを渡せる後継者も育てていきたい。

――社長就任にあたり、社員に対してどんなことを語りましたか。

まずは「下を向くな」です。1年目は、会社を作れた。2年目は飛躍し、充実した1年にしていこうと。さらに、数字責任をしっかりと取って仕事をしていこうと。

社員が不安に思っていたのは、将来がどうなるかということです。長野にいるときは、昼ごはんはずっと社員と一緒に食べているんです。そして、夜は課長さんたちと飲んでいるんですが(笑)。そこで、お互いの意見を交換して、私がどんなことを考えているのかを知ってもらいたいと考えています。

私が社外から入ってきて、これまでのしがらみがないまま、言いたいことが言えています。それによって、現場が求めるやり方ができるようになるのではないかと思っています。